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骸が話し始めようと口を開いた丁度その時、隣の部屋から聞こえてくる楓の絶叫。これはあれだ。断末魔とかそういうものにも匹敵するくらいでかい声を出しているんじゃないか。




「おいダメツナ。つまんねぇこと考えてんじゃねェ」



「うん、もうつっこまないけどさ」





いつも通りさらっと人の心の中を見透かしてくるリボーンに若干あきれつつも、骸にはなくはやせよという視線を送る。少しばかり殺気も混めたりなんかして。

すると、骸は「君も大概アルコバレーノに感化されてますよね…」とか何とか言った。ちょっと待て。それは心外だな。




「これは全てクロームが言っていたことなのですが…」




それから、楓の叫び声に邪魔されつつも骸は事のあらましを全部説明してくれた。何というか、悔しいけれどもわかりやすい。ちょっとイラッと来るけど、やっぱこいつ頭いいのかなって思ってしまった。















骸曰く。



京子ちゃんの家に黒川とハル、イーピンにクロームまでもが示し合せでもしたかのように偶然遊びに来たらしい。ほらそこ、都合がいいとか言わない。小説なんてそんなもんだから。

そして、京子ちゃんと黒川がこの前学校でやったハロウィンパーティ―のことを話したという。すると、ハルが自分もハロウィンの衣装を作りたいといいだした。そこから話はおかしな方向に進んでいき、楓にハルの作った衣装を着せようということになったのだった。

そこで、色々と都合の良かった黒曜ランドで準備をしようと言うことになったのだった。流石に花に黒曜ランドの本当の姿を見せるわけにもいかないのでクロームが幻覚でごまかした。


途中、買い物に行っていたという骸は花に頼まれ(半ば脅され)おやつを買いに行かされた居たのだという。





「確かに被害者だね…」



オレは軽い憐みのこもった眼で骸を見る。流石に可哀そうになったのか獄寺君も何も言わない。山本は…寝てる。








「よしっ!!完成です!!」



隣の部屋から聞こえてきたハルの声。

そして出てきたのは……





「ほら、楓ちゃん!!早く外出ましょ!」




「いーやーだーーーー!!」





ハルが完成と扉の向こうで宣言してから、早五分。先ほどから、こんなやり取りが延々と繰り返されている。

何故楓が出てくるのを嫌がっているのかはわからないが、もうみんな我慢の限界だ。というか、痺れを切らし始めたリボーンが銃を構えてる。






「楓〜〜!早くしないとリボーンが怒るよ〜」







流石に、この場で発砲されたら楓が可哀そうかと思ってそう言うと、今まで渋っていた楓は何処へやらバン!!と大きな音を立てて扉が開かれた。








「銃をしまえェえええええええ!!!」






出てきた楓は、丈の短い白い着物を着ていた。着物には、黒い牡丹が描かれている。反対に、帯は淡いピンク色で白い着物とよく合っている。そして、キラキラと輝いた長い黒髪は少し巻いておろされている。



ハル曰く、家にあった着物を勝手に改造したらしい。ある意味春は恐ろしいと思った。まさかこんな才能を秘めていたなんて。ただ、変な着ぐるみ作ってるだけかと思ってたよ。


服のおかげもあってか、楓は何ていうかすごくきれいだ。それも、最初の一言でぶち壊されたわけだけど。








「ハルちゃんこれ恥ずかしい!!動きにくい!!脱いでいい!!?」






あれだよね。もうちょっとしゃべり方とか性格とかおもに内面をどうにかしたら楓って相当モテると思う。でも内面がね。

テンション高くて、話も合うから友達が一番しっくりくるんだよね。







「ダメです!!今日は、それ着て帰ってください!」





「なんで!?」





えーツナ君のターンしゅーりょー!ここからは楓ちゃんのターンだよ!んで、ターン開始早々ハルちゃんがとんでもないこと言いだしたんだよ!!

これ着て帰れって!来てるだけでも恥ずかしいのにこれを町の皆さんに披露しろって!!








「何の罰ゲーム!?」





「いいじゃん、楓ちゃん!とってもかわいいよ♪」






「ありがとう京子ちゃん!じゃなくて、来て帰るのは勘弁!!」









何ていうか、ツナ達は言ってこれてないね。置いてけぼりくらってるね。ポカーンとしてる。あ、山本寝てやがる。だから出番がなくなるんだよ。



獄寺に至っては骸に喧嘩吹っかけてるしな。








「それじゃ、楓バイバイ」





「え、花ちゃん!?私の最後の頼りが!?」





「安心しな。似合ってるから」





そう言って、手を振って京子ちゃんと花ちゃんは帰って行った。それに続いて、ハルちゃんとイーピンちゃん。さらにはツナに獄寺、山本まで。あ、あいついつの間に起きたんだ。









「皆ぁあああ!!置いてかないでェえええ!!てかハルちゃん、私の制服返してェえええ!!」







「楓、大丈夫だよ。暗いからわかんないって。それに結構似合ってるし」




「ま、ままま、悪くはねぇんじゃねぇか…」




「馬子にも衣装ってこのことだな!」





「楓さん!かわいい!!」





「可愛いですよ!プリティーです!キュートです!」




「とっっっても可愛いよ!!!」




「どうせだったら雲雀に見せてやんなさい」









どれが誰のセリフかわかるかな?…じゃなくて!!


え、マジで!?これマジな感じなの!?









「クロームちゃーん…服貸してくれたりは……」




「気を付けて帰ってね…」






「うん」










こうなったら自棄だ!!!!もうこれで帰ってやる!!





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