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「それじゃ、まずは商店街ね」



結局ココアを飲みほした後、パトロールを手伝う羽目になる。まぁ、ココアも嫌いじゃないしね!



…炭酸ならもっと好きだけどね。



あ、私根に持つタイプなわけじゃありません。ただただ、あの時の怒りが忘れられないだけです。






「それを根に持ってるっていうんだよ」



「……委員長、常識って知ってますか?」



「知らないね」






言い切ったよこの人。マジで。私なんかよりもずっと頭おかしいよこの人!





「ほら、行くよ」



そういって、商店街を進んでいく。

そして私はあるものを発見!!!





「委員長!ゲーセン!絶対不良いっぱいいますよ!行きましょ!さ、早く!」




近くに見つけたゲームセンターを指さしながら、委員長の学ランを引っ張ると、皺になるって叩き落とされた。



「…遊んだらどうなるかわかってる?」



「そこまで命知らずじゃないです」



ものすごい目つき悪い。どうやったらこんなに目つき悪くなるんだろ?あ、生まれつきか。



「…楓、何か言った?」


「いってません。決して」
















ウィーンと言う音とともに開いた自動ドア。騒がしい店内に足を踏み入れると、一瞬空気が凍りつく。

そして、あちこちから聞こえてくる声。





《え、嘘!?雲雀恭弥!?》

《ヤバいって殺される!》

《隣の女の子パシリかな?》

《かわいそー》

《腹減った》





…うん。みんな自分の気持ちを素直に表現してるね。特に最後の奴素直すぎるだろ。てか空気読めや。

それにしても、私の心に突き刺さったのは最後から2,3番目の女の子たちの会話で。


あれ〜?普通こういうとこでは、「あれ!?もしかして雲雀恭弥の彼女!?」的な声が聞こえるものなのではないのかね諸君!!

ンだよパシリって。見ろよ!さっきココア買ってもらったんだぞ!





「楓、ゲームセンターの中でココアの空き缶高々と掲げてるのはどう見ても変態」


「どうせだったら変人にしてください」




変態って。どこぞのクフフな人を思い出してしまうではないか。まぁ、本人は否定してたけどね。




「で、何するの?」


「何するのって、委員長咬み殺さなくていいの?」



ほら〜あっちのほうとか不良さんがいっぱいいますよ〜って指をさしてみても、委員長は一向に動く気配がない。




「……」




あ、あれぇ〜〜ふぉーめーしょんAは失敗!?

ちなみにフォーメーションA↓
ゲーセンに入った途端に、不良の群れを咬み殺しにかかる委員長!混乱する店内!それに乗じて私はゲーム!!


っていう、完璧な作戦だったはずなんだけどなー




「随分と安易な作戦だよね」


「げ、聞かれてた」


「君は…」



と委員長が何か言いかけて言葉を飲み込む。


…委員長、いつものブラックオーラはどうした?



「いいんちょ?」


顔を覗き込もうとすると、頭を掴まれて遠ざけられる。

そして、しばらく経つと、手を放してくれて。

そこには、いつもどーり偉そうに立っている委員長がいて。

さっきの言葉を飲み込んだ委員長がちょっとだけさみしそうに見えたのは、やっぱりきのせいだよね!

と、勝手に思い込んだ。


「…ここ嫌い。行くよ」


そう言って、私の手を握って(実際はそんな優しいもんじゃない。なんかもう綱引きの綱引っ張るみたいな?でも握るって言わせてくれ!女の子だもの!!)ゲームセンターを後にした。

…そういえば、私委員長が誰かを咬み殺してるとこ見たことないかもしれない。






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