不破視点




真っ青な青空の下、僕は木の根元で読書中。

いや、正確には僕たち、だ。






「雷ちゃん、これ…怖いいいいいい!!」

「百物語は怖いものだからね」

「俺今日厠行けない…」

「大丈夫だよ、そしたら僕がついて行ってあげる」

「約束な!?」






ガバっと抱きついてきた藍を抱きしめ返して、今日は僕たちの部屋へ泊まりに来るよう取り付ける。
三郎は今日実習の日だから二人っきりだし、丁度いい。


そっと笑いながら、本が傷つかないように少し遠い所へ置くと下級生の声が聞こえる。






「そう言えば、最近猫は大人しいね」

「あ、そうかも!俺的にはいいんだけどね」

「まあ、はじめて見た時には驚いたけど」

「俺もあまり記憶がないから…ごめんね」

「藍のせいじゃないよ!藍も猫も別人だと思ってるし」





申し訳なさそうに表情を曇らせる藍の頭を撫でる。

藍は猫又と人間の混血、半妖というやつで、人間の方は藍。
猫又の方は猫って呼んで区別している。


性格は藍と猫で正反対。





「呼んだか?」

「え、」

「最近俺のこと見てないって寂しそうにしたじゃねぇか」





思考を巡らせていると、いきなり頬を撫でられる感覚とゾクゾクするような低い声に僕は目を丸くした。

何で、こんな時に。
確か発情期と藍が怪我した時にしか出てこないんじゃなかっただろうか。


僕が無言のまま悩んでいたら近くでため息をつく猫の息遣いが聞こえる。


もう一度確認しようと、頭の中を必死に整理した。


僕の頬を撫でる藍の臀部には二股に分かれた尻尾。
うっとりと僕を見つめる眉は細く短く垂れている筈なのにそれはつり上がっている。






「よう、考え癖は相変わらずだな。俺ってちゃんと認識したか?」

「したくない、けど…仕方ないよ。だって君は猫だろ?」

「そうそう。あ、何かお前らは俺が一定の条件を満たさないと出てこられないと思ってるみたいだがそんな事はない」

「…いつでも出れるって事?」

「それは企業秘密」





にやり、普段の藍じゃ考えられない笑い方だ。
というか、いい加減僕の体を開放してほしい。

猫は男も女も関係なく…





「シようぜ、雷蔵?」

「っ、し…シないよ!!」

「んだよつれないな。じゃあ下級生でも…」

「駄目ええええ!!!」





妖艶な笑みを浮かべて耳をあま噛みする猫に両手を力いっぱい振り上げて距離を取る。
そうすればむくれた顔をして下級生の声が聞こえる方向に目を向けながら舌なめずりしている。

さすがの僕も悩む暇なく猫を止めた。






「んだよ、可愛い下級生をあんあ」

「それ以上藍の顔で下品なこと言わないでくれ…」

「ちっ、仕方ねぇな。じゃあ雷蔵相手してくれよ。そしたら下級生に手を出すのはやめる」

「え、わ…ちょ…!!!」





藍の顔で悪ーい表情をしながら口角を持ち上げるのを見ていられなくて、目をそらせば視界が一転した。

目の前には満面の笑みな猫。そして燦々とした太陽。

これは、もしかしてもしかしなくともまずいんじゃ…僕は冷や汗をかきながらどうしようかと悩む。


今突き飛ばしたら藍の体に傷をつけたら大変だし、でもこのまま何もしないと僕が…
うーん、どうしたらいいのかな。






「抵抗しないって事はおっけー、て受け取っていいんだな」

「っ、ひ…!!」

「ん、いい反応」






悩んでる最中に元から外していた頭巾で手首を縛られる。
満足そうに笑った猫に首筋を舐められて変な声が出た。


これは、本気でヤバイ。






「や、めっ!!」

「ぅわっ!?」

「…あれ?」





やっぱり僕も忍の卵らしい、何もされていない足で猫の体を押し退けたら彼が一瞬で視界から消えた。

縄抜けの術で何とか抜け出せば、近くに大きな落とし穴。






「猫!?」

「痛いよー…雷ちゃんー」

「…藍っ!!ご、ごめん!」






落とし穴で目を回しながら藍を助けるために急いで手を伸ばした。






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藍を可愛がる(←)雷蔵が猫に可愛がられる。
そろそろ出そうかと思って雷蔵に被害にあってもらいました!www





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