「わー!!おばちゃん今日魚!」
「そうよー。この前藍君お手伝いしてくれたから一匹おまけね」
「ありがとう!」
夕方、お風呂に入って先に出た藍の後を追いかければ渡し口で飛び跳ねる姿が一番に視界を独占した。
後になって辺りを見渡せば悶絶するくのたまと忍たま数名。
あぁ、また信者増えたななんて思いながら藍の背中に近寄る。
「勘ちゃん!今日魚だよ!!」
「あ、気付いてたの?」
「?分かるよ?」
「おぉー偉い偉い」
辺りの視線を遮るような立ち位置に移動して藍の頭を撫でる。
羨ましいでしょ。
俺も藍と同じA定食を頼んでまだ誰も居ない所定の位置を確認した。
五年の皆はいつも同じ席で食べるんだけど、珍しくろ組の皆も来ていない。因みに兵助は土井先生に呼び出されて遅れてくるって言ってたし。
「兵ちゃんは?」
「土井先生に呼び出しされて行ったよ」
「そかー。でも勘ちゃん居てくれるし安心した!」
くのたまの子に話しかけられて困ってたんだ、と無邪気に笑う。
まったくそんな笑顔見せられたら抱きしめたくなるじゃんね?
でもここは食堂だからなんとか押さえて頭を撫でるだけに留めた。
誰か俺の理性褒めて。絶対三郎とか兵助だったら抱きしめてるよ。
三郎は変態だからともかく、兵助は天然だから周りをあまり気にしなかったりするからね。
「勘ちゃん?」
「ん、あ…ごめん。何か言った?」
「あのね、魚一匹おまけしてもらったから勘ちゃんにも半分あげる!」
「え?いいよ、藍の好きなものでしょ」
「勘ちゃん、知ってる?好きなのは分けて食べるとおいしんだよ!」
なんて、胸張ってそんな事言っちゃってくれるから思わず抱きしめた。
ダメだ、負けたよ。
早く来てよかった、うん。
周りから興奮したような荒い息が聞こえた気がして必死に腕を解いた。
歯を見せて照れ笑いした息。
「藍って色の成績いいでしょ…」
「い、色!?そんな訳ないじゃん!俺アレ一番苦手…」
「あぁ、意図してやるのが苦手なのか」
「どういうこと?」
「や、なんでもない」
不思議そうに首を傾げた藍と自分の膳を持っていつもの席に座った。
それに習うように付いてくると俺の隣に座る。
「勘ちゃんの隣、座るの久々だなー」
「え?」
「ご飯の時いつも勘ちゃんは雷ちゃんとか兵ちゃんが隣座るからさ!今日は俺ー!」
カタリ、と音を立てて俺に引っ付く藍。
お願いします早く皆来て。
俺色々やばいから。
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