暖かい夕焼けの日のいつもの日常
きっと、みんなこんな気持ちなんだ。


告白するって。


心臓は、飛び出るんじゃないかっていうくらいドキドキしてる。


『でも、もう決めたことなんだから』


好きな人に好きな人がいるからって、逃げたくなんかない。



私は心を落ち着かすために、目をつぶる。


彼が来るまではこうしていよう。








ギイッ




しばらくして、屋上の扉が開いた。



そのしばらくがどれくらいかは分からないけど。


1分かもしれない。1時間かもしれない。




でも、そんなことはどうでもいい。






今、一番大切な事は






「清水さん、用ってなに?」



彼に想いを伝えること。



浅羽くんが私の近くまで歩いてきて止まる。

その距離は2メートルくらい。




届きそうで、届かなくて。


きっと、今の私の心の距離もそれくらいで





私は、大きく息を吸い込む。




『私、ね』

「うん」










『私、浅羽くんのことが好き』







──だから、自分から近づかないとダメなんだ。





ぽかん、という顔になる浅羽くん。



『浅羽くんに好きな人がいるのは知ってる。
でも、言いたくて』



返事はきっと、NOだろうけど。




でも


それでも



君に伝えたくて





『聞いてくれてありがとう。
ごめん。最後に返事聞いていいかな?』




これは、私が諦めをつけるためで。





だから









「俺も、清水さんが好きだよ」








そんな言葉を





君から言われるなんて




思ってもみなくて





『・・・嘘』


「嘘じゃない。ほんと」


『・・・なぐさめとかじゃない?』


「俺がなぐさめで嘘つくと思う?」


『思わない、けど・・・』





だって、信じれないじゃない。



あなたが好きな人が、私なんて。






『・・・やっぱ信じれない』



「──じゃあ信じてもらう」







すると、浅羽くんは私に近づいてきて


そのまま私の腕を引っ張って







・・・唇が何かにくっついて




それが彼の唇って




気づいたときには、私は涙を流してた。




『・・・信じる』



「うん」




『えっと。じゃあ改めて』



「待って。俺に言わせて」





せめて、これは先に言わせて欲しい。







「俺と、付き合ってください」







彼女はにこりと、出会ったときのような笑顔になり






『はい』




承諾してくれた。












「じゃあ、ちょっとムード壊すようで悪いけど」



悠太は、屋上の扉を開く。

すると



「うわっ!」




千鶴達が倒れ込んできた。



「な、ゆうたん急に扉開くなよっ!」

「のぞき見した人が怒れることですか。それ」

『え!見てたのっ!?どこから!?』

「えっと、悠太くんが屋上についたあたりからです・・・」

『一部始終!?忘れてー!』



恥ずかしがる優佳。



「いや、でもばっちり見ちゃったし」

「まさか、キスするとは思わなかったけどな・・・」

『あー、穴があったら入りたいー!』

「要も早くお母さんに告っちゃいなよ」

「はあ!?なんでだっ!」

「まあまあ2人とも・・・」






騒ぐ優佳



喚く千鶴



からかう祐希



怒る要



なだめる春



呆れる悠太








いつもと変わらない日常がそこにはあって






そんな6人を、落ちかけた夕日が静かに見守っていた。





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