急な雨は少し優しく
ざぁぁぁぁぁ





(あ、雨)



窓側の席に座ってい裕太は、急降り出した雨にすぐに
気づいた。



「うわー、雨だ。私、傘持ってきてないのにー」


「あたしも」


「よっしゃ。外周りなくなるぜ」





雨の音で降っていることに気づきだしたクラスメイトは
授業中だが主に雨の話しをこそこそしだした。

やっぱりみんな、授業より自分の事が大事なわけで。


今授業を教えている先生はおじいちゃん先生で、特にその事を
注意しようとはしない。




(ま、傘持ってきてるし関係ないか)



天気予報で雨になる事は最初から知っていたので特には
気にしない。

雨が強まるとともに、この日最後の授業は終わった。







◆◇◆◇





悠太side




今日は雨という事もあり、いつものメンバーで寄り道はせ
直帰となった。



祐希はなんか部活らしくて、今日は俺1人で帰る。



玄関に向かうと、迎えを待つ人や、傘が無いため雨がやむのを
待っている人で結構ごった返していた。


そして、その中に、見覚えのある後ろ姿がいた。





栗色の、柔らかい髪








「清水さん」




『あ、浅羽くん』


「清水さん、傘忘れたの?」


『うん。雨降るって知らなくて・・・』


「清水さん家どこらへん?」


『F駅の近くだよ』


「そこ俺ら帰り道で通るから、傘の中入ってく?」


『え、でも悪いし・・・』


「多分、この雨収まらないと思うけど・・・」




外を見てみると、先ほどよりも酷くなっている。

1時間2時間そうそうでやみそうにはない。





「お母さんかお父さん来れるの?」


『どっちも今日は夜勤・・・』


「じゃあ待ってたら学校閉まるよ」




そう言うと、清水さんは少し悩んでから





『じゃあ、お言葉に甘えます』


「うん」




俺は自分の傘を取って開く。


傘を開いても、清水さんはなかなか入ってこない。





「・・・入んないの?」

『・・・あ、入る入る』



なぜか少し頬を赤く染めて、清水さんは俺の隣に来た。



雨が降る中を2人で歩く。

雨の性でか、少し肌寒い。


無言の傘の中。


すると、急に清水さんが喋りだした。




『あの、ですね』

「なに?」

『その、私なんかが隣にいてもいいの?』

「なんで?」

『だって、相合傘って、普通好きな人とするものだし・・・』





後半は小声で呟くように言う。




あ。そうか。考えてみればこれ相合傘だ。

だから清水さんは傘の中に入るのを渋っていたのだろう。




「まぁ。俺はいいけど・・・。清水さんが嫌じゃ
なかったら」

『わ、私は全然いいです!』




清水さんにしては珍しく大声を出す。

そしてまた、無言になる傘の中。


だからだろうか。




「え!浅羽くんと清水さんって付き合ってたの!?」


「うそーーー!」





本人たちは無自覚なんだろうけど、大きな声での
そんな会話が聞こえてきた。




清水さんもどうやら聞こえいる用だった。





『ごめんね』

「何で?」

『私なんかが彼女に見られちゃって…』

「…それは一体」

『浅羽くんはかっこよくて、頭も良くて優しくて…。
それに比べて私なんか、って』




ため息をつく清水さん。

別に俺はそうとは思わないけど。
そう思い、率直な彼女への感想を俺は言う。



「清水さんだって、かわいいし優しいし、気づかいとかできてる
とこ良いと俺は思うけど」



それを伝えると、清水は目を二回パチパチさせその後、かぁぁっと顔を赤くし





『ありがとう。浅羽くん』




何故か恥ずかしがりながら、そう笑って言った。



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