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 彼氏が救護テントに運ばれたのだと知ったとき、ナマエは目を見開いて身動きを止めた。かたや私は妙に冷静で、顔面蒼白とはこういうことをいうのだなと思った。
大粒の涙を流して金城に泣きすがるナマエも、ナマエを抱きしめる金城も周りの目は気にならないようだった。

 あまりに不憫ではないか。彼の負担にならないようにと、会うことも連絡を取ることさえも控えたナマエの健気さをどうしてくれる。そんな彼女の期待に応えようと必死にペダルを回した金城の努力は。いつの間にか拳を握りしめていた。爪がてのひらに刺さって痛かったけれど、さらに力を込めた。




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