log | ナノ


 もしかしたらと今まで一度も思わなかったわけじゃない。でも、その「もしかしたら」がその枠を超えてしまうほど、私は自惚れ屋になれなかった。

 恋愛はナマモノだと思う。放っておいたら腐ってしまう。彼の気持ちはもはや新鮮ではない。既に捨てられている可能性の方がおそらく高い。

 だから、絵画のように美しい夕焼けの下、どこまでも続く海岸線を二人で眺めていても――告白にはもってこいのムードなのに、彼が相手でなければ絶対に今言ったのに。あるいは彼も同じことを考えているのかもしれないし、もうそんな気はさらさらないのかもしれない――私も彼も無言になってしまうのだ。



いえない一言





prev | next