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 昔から利発だと言われ続けてきたけれど、なんてことはない。要領がよいだけだ。知識が豊富なのは父のおかげ、なんでもそつなくこなせるのは母のおかげ。両親のいいとこどりな私はなんでも平均点以上――特別秀でた何かを持っているわけでもなかった。

 未知や無理とは縁遠い生活からの脱却は、人生十七年目にして訪れた。広い背中だと思った。平穏にして平凡なる私の日常に現れた澤村大地という、これまた平凡そうな男は私に不可解な感情をもたらした。


なんだって知ってた





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