悲しい知らせ


「何度言ったらわかるんだい?君を婿に迎えるつもりはないよ。」

「フッ…婿選びにいいアドバイスをしてやっているというのにつれないな。」


穏やかでない雰囲気が王室に漂っていた。
部屋の主である王表情は普段の穏やかなものではなく、厳しい視線を向ける先には悪名高い右大臣。

2人は王が王と呼ばれる前からの付き合い―否、腐れ縁と呼ぶべきか―であるが、その関係は決して良好なわけではない。

「君の噂は聞いているよ。娘を不幸にするとわかっている男を婿に迎える親がどこにいる?わかったら今後一切―
バァン!!

「父上!!!」

「あの者に罪はありません。解放してください。」
「王女…」

王の声を遮らせたのは彼のー本来ならー娘である王女だった。クロスはその姿を見てほう、と満足げに声をもらす。流れる漆黒の髪にハチミツ色の肌、そして見た者を一瞬で虜にする瞳。美人とは聞いていたがこれほどとは…。

「部屋に戻りなさい」
「ですが…」

有無を言わさぬ王の目に、しばらくして王女は王室を出ていった。





「あの男は死んだ。」
「!!嘘だっ!!」

王室の外で先程の麗人を見かけたクロスは、王女に残酷な事実を突き付けた。

「嘘だと思うなら自分で確めてみればいい。」

アレンがうまくやっていればあの男が生きて帰ってくることはない。いや、アイツのことだ。確実に仕留めてくるだろう。
余裕の笑みを浮かべたクロスは混乱するユウを残して去っていった。




「嘘だ………死ぬわけないっ……ティキッッ…!!」

たどり着いたそこに、ティキの姿はなかった。



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