自由と貧しさ ![]() ![]() ![]() 「ティキっっ!!あれはなんだ?」 「あ?旅芸人だろ。ここらじゃよく見かけるぜ。」 「あの変な格好したヤツは?」 「占い師だ。金ぼったくられるだけだから近寄らないほうがいいぜ。」 ユウは城の中では絶対に得られなかった自由な時間を楽しんでいた。 「(コイツ………こんな顔もするんだな)」 最初素顔を見たときは美人だが何か儚い印象を受けたが、初めて見る景色に目を輝かすユウにティキはこっちの方がずっといい、と思った。 「また商品に手ェつけやがってこのクソガキが!!次来たらこれくらいじゃ済まさねぇぞ!!」 「!」 突然聞こえてきた怒声に目を向ければ、まだ幼い少年が道の真ん中に放り出されていた。店主に殴られたのだろう、口の端は擦りきれ、頬は赤く腫れ上がっている。 「!イーズ!!大丈夫か?」 駆け寄ったティキにつられてユウも近づいてみると、少年は今にも倒れそうなほど細い体をしていることがわかる。 「お前またしばらく食べてないな………少ねぇけど、ほら」 「!」 そう言ってティキは盗んできた果物を全て少年にあげてしまった。 「ありがとう」 幸薄そうな少年は笑ってティキに礼を言い、おぼつかない足どりで去っていった。 「あの子供………親は……?」 ユウには信じられない光景であった。子供は守られるべき存在であり、この国で子供の労働は禁止され、少なくとも14までは親が面倒を見、然るべき教育を受けさせることとなっている。しかしさっきの子供は誰にも助けてもらえないかのように見えた。 「孤児なんてここら辺じゃ腐るほどいるぜ。ここじゃ誰も助けてなんかくれない、自分の力で生きるしかねぇんだよ。」 「!!」 ユウは知らなかった。一見豊かに見えるこの国で少し城から離れればこういう世界が広がっていることを。 「……っ……俺…何もわかってなかった……」 ユウは自分を恥ずかしく感じた。 この国のことなんて何も知らないで、自分ばかり苦しいと思ってた。 「あんたが悪いんじゃねぇよ。」 最初は世間知らずの金持ちだと思っていらついたりもしたが、ティキの中で何かが変わっていた。 「ティ… 「見つけたぞ!!王女様を安全なところへ!その男を捕らえろ!!」 ユウが顔をあげてティキの名を呼ぼうとした瞬間、護衛兵の声が鳴り響いた。 (11/24) |