赤髪の大臣


城から少し離れたところにある派手な出で立ちの建物、そこには顔を半分隠した赤髪の大男がいた。

「なんだこのシケた酒はよぉ!ロマネ・コンティ持ってこいや!!」



この国の右大臣、女好き、酒好きで名高いクロス・マリアンである。


「師匠〜仕事してくださいよ!」

脇では白髪だが顔つきはまだ幼い少年が半泣きで山積みの書類を整理している。左目に独特の傷を持つ少年、クロスの秘書兼弟子、アレン・ウォーカーだ。


「全く………そんなに贅沢したいなら王様にでもなればいいじゃないですか…」

いくら片付けてもきりのなさそうな書類の山を片付けながらアレンはこぼした。
もちろん冗談である。この男が王様になんてなったらこの国はもうおしまいだ。考えてみるのも恐ろしい。


だがアレンは軽はずみな発言をした自分を呪った。





「お前もたまにはいいことを言うな。」

「…………は?」


言われた意味が分からず顔を上げると問題の男は口の橋をつり上げて愉快そうに笑っていた。


「なぁ馬鹿弟子、この国の王女は確かなかなかの美人だったな?」



アレンは背筋に冷たいものが流れるのを感じた。


(10/24)
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