外の世界

その日、宮殿は大騒ぎになった。

バァン!

「王様、大変です!!」
血相を変えた従者があわてて王室に飛び込んできた。
「どうしたんだい?」
普段なら王の許可なしに王室の扉を開けるなど咎められるべきところだが、よほど緊急のことなのだろう、と王は従者に耳を傾けた。

「王女様の姿がどこにも見当たりません!!」
「……何だって?」







知らない世界。知らない人々。
ユウにとっては全てが新鮮だった。

「(今頃城は大騒ぎになってるだろうな…)」

宮殿を抜け出した。
息苦しかったのだ。あそこでは何でも与えられたが、ユウが生きたいように生きることはできない。
早朝、護衛兵の目をごまかしてうまく抜け出した。持ち前の素早さを生かして誰にも気付かれずに出てくることができたが、従者がユウをお越しに来る時間はとうに過ぎている。もぬけのからのベッドが見つかって皆城中あわてて探し回っているところだろう。


「泥棒よ!!誰か捕まえて!!」
「!!」
突然聞こえてきた甲高い声にはっと顔をあげると、前方に果物らしきものを抱えて人混みを掻き分けて駆けていく男がいた。


ユウは男めがけて走り出した。

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