(若干病んでる臨也とツンデレ気味な静雄かもしれない)





「……つまんない」
「…なにがだよ?」

そんな小さな溜息をつきながら恋人の問い掛けを横目で流し、再び(今度は盛大に)溜息を吐く。

「……あれ、今度は心配してくれないの?」
「何度も聞いてんのに無視してんのはてめぇじゃねーかよ。……糞臨也。くたばれ」
「最後の台詞は全く必要ないよねぇ、シズちゃん?」

その笑い方気にくわねぇ。小さな呟きは聞こえないふりをして臨也は静雄に静かに笑いかける。(もちろん今度は作り笑いなんかじゃなく普通の、自然な笑顔で)

「……で、なんで溜息なんてついてんだよ」
「(一応心配は、してくれてるんだぇ…)ん?んんー……。ねぇ、シズちゃん」

臨也は自分手製のオリジナルコーヒーを彼に渡すと、なんでもないことのように問い掛けた。



神様っているのかな?




まるで、明日の天気を聞くかのように簡単に静雄に聞いた。彼はしばし黙り込みそして答える。

「知るか」
「……うん、だいたい予測はしてたよ、俺はね」
「じゃあなんで聞いた糞臨也」

臨也は苦笑し、静雄の隣に座る。ギシリとソファーが小さく唸り、臨也は身を深く沈めた。

「……好きだよ、シズちゃん」
「ああ、そうかよ」
「シズちゃんがね、思ってるより俺はシズちゃんが好き……愛してる」

普段の彼からは出ない「愛してる」内心の動揺を隠しつつ静雄は先程の話題を臨也に振った。

「……で、それとさっきの神様はなんか意味があんのか?」

声が、少しだけ震えてしまったのを彼は気付いているだろうか。

「いや、もしもだよシズちゃん。神様がいるのなら、どうしてシズちゃんが俺のこと好きになってくれないのかなって思ってさ」
「……は……?」

驚き静雄は臨也の顔を見て、静雄は酷く後悔する羽目になる。

「シズちゃん、好きだよ。少しだけでもいいからさ好きって言って。ねぇ、シズちゃん…好き、好き好きなんだ好きなんだよ……!」

声だけ聞けばそれは切ない告白に聞こえるが、臨也の顔は笑っていた。仮面をはめたように綺麗に奇麗に。

「神様がいなくてシズちゃんが俺のこと好きじゃないなら、俺はねこんな世界いらないんだ」
「な、……い ざ や ?」

なんだ、これ。目の前がくらくらする。臨也にもたれ掛かりたくねぇ、けどなんだ、これ。

「あ、ちゃんと効いたみたいだね。よかったぁ、効かないかと思って少しだけ心配だったんだ」

安心したように臨也は静雄の頬を撫でる。

「お まえ、 に し た」
「毒入れたんだ。無味無臭のヤツほらさっきコーヒー渡した時に、ちょっと……ね?」

ごめんね、とあまり悪気のない言い方に静雄はぞっとした。言いようのない恐怖が彼を包むがそれが臨也に対するものなのか、それとも臨也が言った『毒』に対するものなのか、それはよくわからなかった。

「それじゃあ、シズちゃん。また今度会えたら、その時は好きって言ってくれると嬉しいな」

目が霞み、臨也の姿が明瞭に捕らえられないが多分コイツは笑っているんだろうな、と静雄は薄れゆく意識の中でぼんやりと思う。だんだんと重くなっていく身体が鬱陶しい、死ぬというのはこういう感覚なのだろうか。よくわからない。

「さよなら、また明日ね」
「  ま た  した ?」
「そうだよ、だってこれただの強力は睡眠薬だもの。……びっくりしちゃった?」

ああ、睡眠薬か。だからこんなにも怠いのだろうか、知らないしわかりたくないがこれだけは目の前にいる奴に言いたかった。自分の声がうまく届いているのかも、わからないけれども。

「(てめぇが死ね、この詐欺師)」








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