「(……折原臨也とは、)」

臨也の秘書が煎れてくれた珈琲をゆっくりと啜りながら貴方は、ぼんやりと考える。折原臨也は死後の世界を信じていないという。だから死ぬのが怖いと彼は言う、それは確かに正論だ。しかしそれは神を否定する材料ではない。臨也は神を信じているのだろうか、貴方はついそれらを彼に聞きたい衝動にかられるが、臨也にその答えをはぐらかされる自信は(何故か)あるのだ。と、いうよりは、神は悪が嫌いらしい。ならばこの男は悪意の塊ではないのだろうか、神がもしも本当にいるとしたら、何か彼に罰を与えるべきである。そう自己完結をしながら貴方は静かに頷くと、彼の傍らにいる青年を気にかけた。


何故、彼が、
こんな場所に。



「なぁ、折原」
「ん?どうしたの?」

彼は穏やかに笑いながら貴方に話しかける。そんな笑顔を見たのは久しぶりだと内心は驚きながらも、貴方も臨也と同じように笑った。

「そこにいる彼は?」
「…あぁ、シズちゃんのことね」


臨也は傍らに静かに座っている金髪の青年の髪を撫でる。貴方はその青年が誰だかを知っている(寧ろ知らない人はいないだろう)池袋では絶対に関わってはいけない人間、平和島静雄のことを。そして貴方は犬猿の仲である二人が何故此処にいるのがふと疑問に思った。そこである考えに貴方は思い至る。


「……もしかして、彼は■■■る?」
「何故?」
「何故って…、……なんとなくだけど…」
「彼は■■■るよ、」
「……………」
「シズちゃんに×××して××××を■■にしたし」


貴方は答えない。



「あはは、シズちゃんねぇ本当に××なんだもの、××××だからねぇ。俺はシズちゃんが最初から■■■■■だったのかもしれない」


それは彼の独白のようであり、懺悔のようでもあった。傍らにいる静雄は何も言わない。もしかしたら■■かもしれないのでそれは当たり前かもしれなかった。

「……折原」


貴方はただ唸るように友人の名を呼ぶことしか出来なかった。それしか赦されなかった。


「君がいてくれて助かったよ、俺は良い友人に恵まれているみたいだ」
「そうでもないよ、私は××××だからね」
「そう、かな?」


…どうも様子が変だ。さっきまで血色のよかった顔はまるで病人のように青白い、息も荒くまるで死にかけているような。


「お、り原…まさかお前………」
「ごめんね」


それは誰に対してだろうか、いままで玩んでいた人間達にか、それとも醜い死に様を晒してしまった貴方に対しての詫びか、または■■になってしまった平和島静雄に対してだろうか。
それは臨也にしかその真相はわからないし、彼の最後の言葉はそれで終わった。つまり、それは遺言だったのだ。


「折原、」


毒を、飲んだのだろうか血液を口から吐き出し苦しそうに彼は逝った。


「……折原、」


臨也の真意はわからない。きっと一生をかけても絶対にわからないだろう。彼はそういう男だった。しかし、貴方はただひとつだけわかった事があった。それを貴方は友人に伝える為に友人を指差しゆっくりと口を開く。



「それが罰だ」




(友人が微かに笑った気がした。)



神は確かに存在していたのだ。











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