にこりと笑いながら臨也は静雄の前に小さな薬瓶を見せながら淡々と話す。

「うん、これだったら多分シズちゃんも死ぬと思うよ」
「……多分かよ」
「あはは、大丈夫。ちゃんと死ねるよ」
  
臨也は静雄の隣に座り、体をソファーに沈める。そうして薬瓶から四粒のカプセル錠剤を取り出した。

「はい、シズちゃんの分。一人二粒ね」

何も言わずに静雄は受け取り、飲み込もうとする。臨也はその腕を掴んで静雄を正面から見つめた。

「なんだよ………」
「ね、シズちゃん。俺とシズちゃんはお互いが大嫌いだったよね」
「……今もだろ、つーか何言ってんだよお前」
「いや、別に?ただね、このまま俺たちが死んで……。…まぁ、来世なんてものは俺は基本的に信じてないけどさ もしも生まれ変わっても俺達はきっと、こんな関係になるんだろうねぇ……」

俺的にはもう二度と会いたくはないんだけど、そう言って臨也は悪戯っぽく笑って静雄にキスをした。軽い、唇だけが触れ合うキスを。静雄は何も言わずにふと視線を下に逸らしてぽつりと言った。

「生まれ変わって、また出会ったら………俺は絶対にお前のことを殺してやる」
もしかしたらそれは今から死ぬ自分への言い訳だったのかも知れなかったが、臨也にはまるでそれは自分への告白のようでしかならなかった。

「……馬鹿だよね、シズちゃんは」
「あぁ?なんだ手前ぇ、死ぬならはやく死ね」

そんな静雄に苦笑して臨也は薬を口の中に入れごくりと飲み込んだ。それを静雄は確認すると自分も飲み込みそして滅多に見せない笑顔になった。















「っ………!!!」

苦しい、吐き気がする、頭がいたい、眩暈がする。

「ぁ……………」

ふと臨也の方を見ると自分と同じなのか、苦しそうに顔を歪めていた。静雄の視線に気付いたのか、苦しそうな中静雄に微笑むと乱暴に口を塞ぎ、荒々しいキスをした。

「ふぁ……っ…!っ……ぅ…んんっ…!!」

そして口を離すと普段の彼からは考えられないような強い力で、静雄を抱きしめた。

「それじゃぁ、シズちゃん。…永遠にさようなら」

くらくらと眩暈が激しくなり、意識を失そうになる中その言葉を聞いて静雄は思わず笑った。そして、自分も何か呟いてゆっくりと眼を閉じる。







――――何故か、とても幸せな気分だった――――




そして静雄は意識を完全に手放した、











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