学パロ小話


真白(→)仁

コツン。何となくポケットに突っ込んだ指先にあたった固い感触の持ち主を取り出す。
細く長い女性らしい親指と人差し指がつまんでいたのは、パステルピンクと白色のビニールで包まれた小さなチョコレートだった。
後輩の女生徒に貰ったそれだが、真白は特別甘いものは好まない。いちごみるく味、と平仮名でかわいらしく書かれているそれは大層甘ったるい味をしているのだろう。
しげしげとそれを眺めていると、ふと一人の人間が脳裏に思い浮かんだ。

そこらの女子より長く綺麗な、ひとつに結った黒髪をぴょこぴょこと遊ばせ、男のくせにやたら可愛らしい顔立ちの、ガキ臭い、いつも騒がしく馬鹿みたいに暑苦しく、馬鹿みたいに優しい一つ下の学年の男子生徒。

「………。」

ペリペリ、と軽い音をたててビニールを剥がすと出てきた、パステルピンクの小さな塊。

「あれ、真白じゃーん。」

後ろからかけられた声に振り向くと、そこにはブリックパックの抹茶ミルクを飲みながらフードを揺らしてこちらに向かってくる鉄丸の姿があった。

「お前、またそれ飲んでんのか。」

「最近気に入っちゃってさあ。てかそれ、チョコ?」

ズズー、と音をならして抹茶ミルクを飲む鉄丸は真白の指先のパステルピンクを指差す。

「真白そーゆーの食わないよな。ちょーだい。」

真白が甘いものを好んで食さない事は仲間内では周知の事実で、逆に甘いものを好む鉄丸に真白はよく自分宛に女生徒から届く菓子やらなんやらをやっていた。

「………フン。」

しかし真白は指先につまんだいちごみるくを、ひょいと口に放り込んだ。
あー、と鉄丸が不満げな声を上げる。

「んだよー、いつもならくれんのに…」

「うるせえ。」

指先に少しだけ付いた、体温で溶けてしまった僅かなパステルピンクさえもペロリと舐めて体内に取り込んだ真白はにやりと笑む。

口内から身体中にまで広がりそうな、ガキ臭く甘ったるい味。
あのウザいくらい暑苦しい奴を思い起こさせたこれは、何故か誰にもやりたくなかった。



end
ーーーーーーーーーー

無自覚真白。
甘いもの好きうんぬんは管理人のイメージです。リプ○ンの抹茶ミルク美味しいですよね。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -