これ の続き


青い空に照りつける太陽、僅かに涼しげな風のふく、日曜の昼前。
昼食と夕食の買い出しから帰宅したジークは重い買い物袋を片手に二つ下げ、高層マンションの自室の扉を開けた。
「あー暑かった…。ただいま〜ケイ、アイン〜」
僅かに額に流れる汗を拭い、靴を脱いで2匹の愛猫の名を呼ぶ。…がしかしいつもならトタトタと軽く足音を響かせ、にゃあ、と一鳴きして出迎えてくれる可愛い可愛い紫の瞳の猫は姿を見せない。
もう一匹のバンダナを巻いた猫と散歩にでも出掛けてしまったのだろうか、と落胆しながら重みの増した気がする買い物袋をキッチンへと運ぶため、広いリビングを横切り、2匹の猫お気に入りの白い大きなソファに何気なく目をやると。ジークの頬はだらしなく緩んだ。
ソファの上には、冬のように丸まった状態ではなく手足をのびのびと伸ばした体制で、目に入れても痛くない程にかわいがっている愛猫のアインがすぴすぴと寝息をたてていた。
時折開かれた窓から吹き込む風に、耳をぴくぴくと揺らしている。
「……アーイーンー。」
ジークは買い物袋をそっとテーブルの上に置くとソファの横に膝をつき、眠るアインの顔を覗きこんだ。
「…んにゅ。」
アインはぴくっと耳をジークの方へ傾けると、眠そうな声をあげながらゆっくりと目を開いた。眠たげにとろけたアメジストの美しい瞳がジークを写している。
「ただいま。」
「んにゃあ。」
ジークがいとおしげに微笑みながらそう告げると、アインは目を細めて嬉しそうに一鳴きしてからジークの鼻先をペロリとピンク色の小さな舌で舐めた。
「!…っあーもう、何っっって可愛いんだーーーっ!!」

それに歓喜したジークが小さなアインの体を抱き上げ、デレデレと頬擦りをしむずがるアインに何度もキスを繰り返すという親馬鹿まるだしの行為が終わるのは、外に出ていたもう一匹の飼い猫・ケイの爪を剥き出した強烈なねこパンチがジークの頬にクリーンヒットするまでの事。



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ウザイくらいアインきゅんにデレッデレなジークさん。ケイ君は可愛がろうとしてもそっぽ向かれちゃいます。




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