理由は必要ですか


無事に陽泉高校に合格し、今日は入学式だった。ちなみにクラスの発表の掲示板を見て教室に入ると紫原がいた。なんと4年連続同じクラス。奇跡起きすぎ。
あっという間に入学式とホームルームが終わり、部活決めの時間になった。紫原はまあバスケ部だろう。私は中学と同じく帰宅部、……のつもりだった。

「…。」

「なに。」

紫原は、先程から私の席の前に立って無言を貫いている。こいつの背は異常にでかいから、今クラス中の視線は私たちに注がれていた。凄く目立ってる。

「ねえ、どうしたの紫原。」

「…名字、部活入んないとかダサすぎ。」

「別に中学の時も入ってないし。」

「今からなんか入ったらいーじゃん。」

「じゃあ歌うの好きだから合唱部。」

「…は。」

「絵かくの好きだし美術部もいいね。」

「…似合わね。」

ありえねーし、と紫原は頭をガリガリかいた。ほう、もしかしなくてもこれはあれだな。

「うーん、でもマネージャーもいいよねー。」

「!」

紫原の肩がびくりと跳ねた。
はい、ビンゴ。相変わらず分かり易い奴め。

「紫原ってバスケうまいんだよね。」

「当たり前じゃん。…なに、見たいの?」

見せたいの間違いでしょ、と思ったが言わずに胸に秘めておく。はあ、帰宅部のつもりだったんだけどなあ。

「そうだね見たいね。よし、バスケ部のマネージャーするわ。」

「…あっそ。」

紫原は素っ気ない態度をとっているが、どこかそわそわしていた。あと顔が少し緩んでいる。
分かりやすすぎんだよ紫原。可愛いなくそ。そんな嬉しそうな顔が見れるのならマネージャーぐらいいくらでもやってやろう。

なんやかんや言っているが、私は紫原に甘いのだ。


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