シンデレラは悲しまない


※赤司がキャラ崩壊
※夢主が超鈍感
※赤司の扱いが酷い


「名前、好きだ。」

「私も好きだよー。」

ここは帝光中学校。そして今は昼休み。
目の前で突然口を開いた赤司くんに対して、私は紙パックのいちごオレをちゅーと吸いながら答えた。

同じクラスで同じ部活なだけなのに、何故か赤司くんは滅茶苦茶私に絡んでくる。よく話しかけてくるしよく訳わかんないこと言ってくる。
お昼ご飯を一緒に食べる関係(強制)になったのはいつからだったっけ。

まあお弁当を食べてるだけなのにどこか神々しい赤司くん見てるの面白いから別にいいんだけど。こんな目の前っていう特等席で赤司くんの食事風景見れるなんて私恵まれてるねいや望んでないけども。

ただし私と喋ってる時の赤司くんは基本目が濁っている。どす黒く濁っている。
そんなに目が濁るぐらい私と喋るのが嫌なら話しかけてこなきゃいいのに。なんてさすがに言えないけどねだって赤司くん私の中で友達いない疑惑すごいあるもん。せめて私だけは仲良くしてあげようと思ってる。

「僕のすべてをあげるから、お前のすべてを僕にくれないか。」

「え、かつあげ?」

「えっ。」

咄嗟にカーディガンのポケットを漁るが、飴玉が1つ入っているだけだった。我ながら持ち物がしょぼい。

「今飴しかないや。はいどうぞ。」

「違う!!!!!」


ダァン!!!!


「こわ!」

赤司くんが思いっきり机を殴り、大きな音が教室に響いた。昼休みで騒がしかった教室が一瞬静まり返るが、すぐに「ああ赤司か」「また名字か」と口々に言い出して、教室の騒がしさはあっという間に元通りになった。

そう、赤司くんが机を殴ったり壁を殴ったり床を殴ったりするのは割と日常茶飯事である。もはや誰も驚かない。でも今赤司くんが机ドンした机私のだから少し手加減してほしかった。なにこれちょっとへこんでるじゃん。おこ。

「ああもう相変わらず話が通じないな!……さっさと監禁してしまいたいぐらいだ。」

「監禁?えーやだ、週末買い物行けないじゃん。」

実は今週末、久々に部活の練習が休みの日があるのだ。私はその日に、同じマネージャーであるさつきちゃんと買い物に行く約束をしていた。私は本当にその約束を楽しみにしていてそのために今週生きてきたと言っても過言ではない。

「わざわざ買い物に行く必要はない。」

「……は?」

「欲しい物があるなら僕が全部買ってあげよう。」

「何言ってるのそれじゃあさつきちゃんと出かけられないでしょ!!!!!!」


ダァン!!!!


「す、すまない。」

今度は私が机を殴る番だった。
その勢いでなのかどうかは分からないけど赤司くんの目からは濁りがなくなって、代わりに焦りの色が見えていた。

え、あの赤司くんを焦らすとか、私の机ドン…すごすぎ……?!






「名前、あまり他の男と関わらないでくれるか。」

「なんで?」

「殺したくなる。」

「私を?」

「相手を。」

今日も赤司くんの目はどす黒い。そして言ってる内容は今日も物騒だ。少なくても楽しいお昼ご飯の時間にする話じゃない。
赤司くんはよくこういうことを言ってくるのだが正直人に飢えすぎだと思う。そんな事言わなくても私はちゃんと話し相手になって上げるよ赤司くん。だからもっとまともな話題ふろう? そして他に友達作ろう? ね?

「えーそれじゃあ赤司くん犯罪者になるじゃん。」

「ばれないようにやるさ。」

「私人を殺した人ちょっとNG。」

「大丈夫、すぐに僕以外のことは考えられなくなるから。」

なにが大丈夫なのかちょっとよくわからない。
てか赤司くんのことしか考えられないとかそれ私の脳みそ大部分欠損してるんじゃないの。どういう状態なのそれ。

「まあまあ。お互い脳みそしっかりあるんだから、もっと楽しいこと考えようよ。」

「脳みそ? …まあ、僕にとっては、名前が僕のことを考えてくれることが一番の幸せだけどね。」

赤司くんのこと…? そういえばそんなしみじみと赤司くんのこと考えたことなかった。
そうか、そんなことが赤司くんの幸せなのか。じゃあ相変わらず目が濁っている赤司くんを幸せにしてあげるためにもちょっと名前ちゃん一肌脱ぎましょうかね。優しいね私。

ふむ、と改めて赤司くんの全身を見つめていく。……………あ、

「赤司くんって髪綺麗だね。」

足元から上へと順に見ていって、最後に目に入った髪について純粋にそう思った。キューティクルがつやつやと輝いていて綺麗だった。
触り心地良さそうだなーと思い手を伸ばす。赤司くんと私は向き合って座っているので、手を伸ばせば赤司くんの髪には簡単に触れる。

「っ!?」

私が赤司くんの髪の触った瞬間、赤司くんの体が雷に撃たれたかのように硬直した。が、特に触ることについては抵抗されなかったのでそのままくしゃくしゃと軽くなでる。髪の柔らかい感触が手のひらに直に伝わってきて気持ちがいい。うわ、ふわふわだ、いいなあ、猫っ毛猫っ毛。

それにしても赤司くん、さっきから一向に動かない。それをいいことに頭をなで続けてたけどあまりにも動かないからちょっと不安になってきた。

「赤司くん、生きてる?」

「……セ、」

「せ?」

「セクハラ!!!!!」

そう叫んだ赤司くんは、顔を手で覆って膝から崩れ落ちてしまった。椅子に座りつつ膝から崩れ落ちるとか器用だね赤司くん。

……ん? てか、セクハラ? もしかしてそんなに髪触られるの嫌だった?
なにそれ結構傷つく。赤司くんしょっちゅう私に触ってくるくせに。それはさすがに普段温厚な私でも怒るよ。
真剣に激おこしてやろうと思ったけど、赤司くんの顔が真っ赤だったので結局許してあげた。私の優しさスキルカンストしてんじゃないの。






「お前を僕のモノにしたい。」

「来世にご期待ください。」

「!!?」

今日も今日とて赤司くんの話題の振り方はぶっ飛んでいる。
最初からある程度濁っていた赤司くんの目は、私の発言を受けて更にどす黒く濁った。相変わらず表情豊かな目だ。

「…おい、それはどういう意味だ。」

「いや、だって今私人間だし?モノにはなれないよ。」

「……ああそういうことか、良かった、拒否されたと思って怒り狂うところだった。」

「そんなに?」

ほんと賢い人の考えることはぶっ飛びすぎてて、凡人の私にはついていけない。赤司くんは、賢い人の思考は凡人に理解出来ないという理論の具体例代表な気がする。…ああ、あと緑間くんも入るね。余裕で代表入りだね。

「大体人間をモノにするってどうするの。」

「まずは名字を揃えるところからかな……。」

「赤司名前か…なんか違和感あるね。」

試しに赤司くんの言う通り、赤司くんの名字と私の名前を足してみたがどうも違和感を感じる。するとその言葉に派手にショックを受けたらしい赤司くんが、目を広げてわなわなと震えていた。いや、そんなに震えられても違和感は消えない。うん、赤司名前はなんか違う。

「あ、でも逆ならいいよ。」

「…逆?」

「名字征十郎。…うん、しっくりきた。」

「!!!」

「私の使いなよ。」

どうせなら、という気持ちで言ったのだが、それを聞いた赤司くんは勢いよく机に突っ伏してそのまま動かなくなってしまった。

「赤司くーん、大丈夫?」

「……………無理だ、殺された。」

「まじか、ご臨終ですか。」

「……出なおしてくる。」

「?」

結局、赤司くんのその言葉の本当の意味を知ったのは、それから何年もあとの話である。



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赤司のヤンデレとか最恐すぎて私の文才じゃあどう考えてもギャグにできなかったので軽率に夢主を鈍感にしました。書きながらこれ赤司?これ誰だ?えっ誰これ?だからこれ誰だよってずっとなってましたすいません。キャラ崩壊って次元じゃねえぞ。藍様リクエストありがとうございましたこんなのですいません本当。でも書いてて最高に楽しかったのでまた書きたいです。反省して。


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