きみから宣戦布告


一夜明けて次の日の朝。私は過去最大級に学校に行きたくなかった。
昨日告白されたのもあるけど、なによりも私、宮地くん突き飛ばしちゃってる。
…どうしよう、もうお前なんか好きでもなんでもねえとか思われて殺されるかもしれない。今日こそが本当の私の命日かもしれない。ああやだ死にたくない。学校に行きたくない。

でも、今日行かなかったら、それこそもう二度と学校に行けなくなって不登校になりそうだ。どれだけいやでも行くしかない。ええい、女は度胸だ。

そう思ってなんとか教室に来たんだけど、

「(うわ、もういる……!)」

そこには新しい席に座っている宮地くんがいた、もちろん私の前だ。もしかしたら突発的な体調不良とかで宮地くん学校休むかも、というはかない希望もこれで散ったわけだ。駄目だ活路がない。
てか今めっちゃ私睨まれてる気がする。ううん、気がするじゃない、あれは確実こっち見てる。もう帰りたい。

なんとかなけなしの勇気を振り絞って、恐る恐る自分の席へと向かう。

「はよ。」

「!お、はよう……。」

頑張って挨拶しつつも内心冷や汗だらだらで席に着く。宮地くんは私の机に腕を置いて、完全にこっちを向いて話す姿勢になっていた。

「あ、のね、宮地くん。き、昨日は突き飛ばして、」

そして、昨日のことを謝ろうとしたのだが、

「ああ。別にいいぜ。予想できてたから。」

「……へ?」

私の声を遮ったのは、予想だにしない言葉だった。宮地くんは何ともないような顔で続ける。

「お前、俺が話しかけるといつもびくびくしてんだろ。」

「あ、はい…すいません…。」

「謝んなくていいんだよ。だからあんなことしたらパニくるのわかってたし、そういうとこ可愛いって思うし、」

「え、」

そこまで言うと、宮地くんはおもむろに自分の筆箱からシャーペンを取り出して、私の机に何かを書き始めた。
一方私はそれどころではない。え?宮地くん、今、私のこと、…可愛いって言った?…え?

訳が分からな過ぎて1人パニックに陥ってたけど、宮地くんの「やべ、先生来た」という言葉でなんとか現実に戻ってきた。宮地くんは前を向く前に、流し目で一言、覚悟しといてと小さく言った。
覚悟ってなに?死の?と思ったけど、机の上にある宮地くんが書いた文字を見て私はすべてを察した。と同時に思いっきり机に突っ伏した。
……なにこれ、


“絶対好きになってもらう”


…これは、反則すぎる。顔が真っ赤になってるのを、感じた。


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