「それなんだけどさ、…俺、」 「ねえ、高尾。」 高尾の言葉を遮って私は口を開く。……私には、どうしても、高尾に言いたいことがあった。 「好きだよ。」 ザワ、と強い風が吹いた。大きく揺れる髪の間で、高尾の目がこれでもかというぐらい開かれる。ああ、どうしてこんなにも頬が熱い。 「好きなの、高尾のことが。」 「………………え、ちょ、待って…え?」 あまりにも高尾の口調が狼狽えていて、それが面白くて少し笑ってしまう。もう、可愛いなあ。 「…高尾もでしょ?」 少し悪戯っぽく笑いながらそう言えば、高尾は全て察したような顔をして下をむいた。 遊園地に誘われた時、私の服を見たとき、ジェットコースターの時の反応、もしかして思った時はたくさんあった。それでもちゃんとした確信は出来なかったけど、今、出来た。 高尾は下をむいたままガリガリと頭をかく。 「うわ、俺、超だせえじゃん。」 「ダサくないよ。チケット買ってくれた時とかジェットコースターで 気遣ってくれた時とか、…ほんとかっこよかった。」 「……マジでかなわねえわ。」 そう言って高尾は顔をあげた。その目はとても真剣で、でも頬は少し赤い。 「…遠足の時、2人になったじゃん。」 「うん。」 「あのあと、なんか急に意識しちまって、今までどおりに話そうと思っても上手く話せねえし、でも目で追っちまうし、」 「嫌われたのかと思ってた。」 「そんなわけない、好き。」 「…うん。」 「俺、好きなんだよ、名字のこと。」 「……うん。」 「だから、」 「…。」 「………付き合ってください。」 小さく、でもはっきりと言われたその言葉に、私は笑顔で返した。 ← → 戻る |