番外編


「さすがに2年は違うクラスになりそうだよね。」

いつも通りの夜、2人で勉強している最中にふと思ったことを言ってみると、目の前にいる敦はそれに反応してのっそりと顔をあげた。少しだけ眉間にしわがよっている。

「なに、急に。」

「いや、だって今のとこ4年連続同じクラスだよ?そろそろ離れそうだなーって思って。」

今は3月の初め。そろそろ2年のことを考える時期だ。
まあ、次も同じクラスとかそんなことはおそらく起こらないだろう。そもそも帝光の時にずっと同じクラスだったことが、かなりの奇跡だったわけだし。

「距離的に正反対のクラスとかなったりして。」

「…あんた、確かあの時寝てたよね。」

「ん?いつの話?」

「入学して最初のほう。2年からのクラス分けの説明してたとき。」

「あー、そうだっけ?」

全く覚えていない。てか、仮に私が寝ていたとしても、なんでそんなこと覚えているんだろう。

「で、それがなに?」

「そん時にさ、2年のクラス分けはまず生物選択か物理選択かで前半クラスと後半クラスに分けます、って言ってた。」

「へー、そうなんだ。…ん?」

じゃあお互い物理選択だから一緒のクラスかもしれないのかー、と思ったけど、ん?ちょっと待てよ。
確か、私はあの時生物を選択するつもりだった。だけど…

「あんたに言われて変えたよね。」

「なにを。」

「生物から物理に。」

「そうだね。」

敦はしらっとした顔でそう言った。
そう、こいつが、俺が教えるから物理にしとけとか言ったから私は生物から物理に変更したんだった。

「見越してた?」

「…さあねー。」

「目線ずらして言っても説得力ないから。」

「チッ。」

「舌打ちやめい。」

なんだ、じゃあまた一緒のクラスになるかもしれないのか。まあ物理か生物かで二択なだけだから確実に一緒ってわけじゃないけど、遠いクラスにはならない。

あー、でも、

「一緒だったらいいのにね。」

机にひじをついて、なんとなく呟くようにそう言えば、敦の体がその言葉に反応してピクリと動いた。心なしか、少し不機嫌な顔をしている。

「そんなん当たり前だし。てか、離れたら学校行かねー。」

「なんでよ。学校来なきゃバスケできないよ。」

「別にしたくねーし。」

「私はバスケしてる敦見たいけど。」

「…じゃあ行く。」

「なにそれ。」

拗ねた顔をする敦の頭をよしよしと言って撫でる。子供扱いすんなしと言われたけど、この手は拒まれなかった。可愛い。


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