楽園はきみの中にある


俺の彼女の話をしよう。

名前はとにかく可愛い。顔が可愛いとかそういう次元の話をしているのではない。全てだ。

最初会ったときは、趣味の合う女子という認識だった。ただ、よく笑う奴だなと思っていた。
名前はよく笑うだけじゃなく喜怒哀楽の表情が豊かで、一緒にいて純粋に楽しかった。

いつから好きになったのかは覚えていないが、結構早い段階で俺は名前に惚れていたと思う。少なくとも試合を見に来るよう誘った時にはもう好きだった。

それに誘ったおかげかわからないが、俺のことが好きだと告白された時には嬉しくてどうにかなりそうだった。外から見たらいつも通りの無表情だったのだろうけど。


話は変わって。今回の同棲は俺から持ちかけたわけだが、それにはちゃんと理由がある。

俺たちは今、同じベットで寝ている。2人並んでも広々と寝ることが出来るサイズのベットだ。
科学的には、2人が同じ布団で寝るの良くないことらしいが、知ったことか。俺が一緒に寝たいんだ。悪いか。

それに1つのベットの方が夜も…まあこの話は置いておこう。とりあえずだ、俺が同棲したかった大きな目的。それは、

「…ん、」

腕の中で名前がもぞりと動いた。起きたか。
窓から射し込む朝日が眩しいのか、目を指で何度もこすっていて、ほら、仕草から可愛い。

俺は今、こちらに背を向けた名前を後ろから抱えるような姿勢をしている。

「…ちひろ。おきてるの?」

「ああ。」

ごそごそと動いて名前は顔だけをこちらに向けた。自然と上目遣いになっている。殺す気か。

「…おはよ。」

「…おはよう。」

そう、これだ。俺が同棲したかった理由、それは朝から夜までそばにいたかったからだ。起きて一番に顔を見れて、夜も顔を見ながら寝ることが出来る。これ以上の喜びがあるか。
…女々しい?好きな奴と一緒にいたいと思うことの何が悪い。

俺は腕の中の名前を強く抱きしめた。

「ちひろ?」

「…今日は休みだ。もう少し寝る、付き合え。」

「いいよ。」

少し笑って名前はそう言った。

例え女々しかろうと、俺は今、幸せだからいいんだよ。


戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -