Text
お願いだから傍にいて
私には、付き合っている人がいます
でも今、その人は……
『クダリさん、アイス食べませんか…?』
「私に話しかけないで下さいまし」
『…すみ、ません……』
「わかったのでしたら、さっさと私の目の前から消えて下さいまし」
もう、私の知っている“クダリ”さんじゃないんです…
クダリさんには、双子のノボリという名前のお兄さんがいました
けど、この間…不慮の事故で亡くなってしまったんです
そしたら、クダリさんは…泣き崩れてしまったんです
私は、ただクダリさんを慰めるしかできなかったんです
ひたすら私はクダリさんを慰めていたら、いきなり…
頭が、イタイ
と呻きはじめたんです
私は、どうすればいいのかわからず、クダリさんを思い切り抱きしめたのです
しばらくして、クダリさんは落ち着いて、私にこう、言い放ったんです…
「私、貴女様のことが嫌いですので近寄らないで下さいまし」
まさにその口調は、この間亡くなったお兄さんの、“ノボリ”さんの口調だったんです
クダリさんがいったいナニを言っていたのか、私には理解ができなかった
そうしたらクダリさんは、
「さっさと離れてくださいまし」
と言って、クダリさんのことを抱きしめていた私を、突き飛ばしたんです
もちろん私は、無様に地に尻をつけましたとも
嗚呼嗚呼、クダリさんが私の傍からいなくなってしまう
好きなのに、いなくなってほしくないのに
なんで、
こんな、ことに…っ
…クダリ、さん……
お願いだから傍にいて
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
[
TOP]