Text
失うのがこわかった
『ねぇ、ノボリさん…』
「どうしました?」
……一緒に死にませんか?
レイシ様からその言葉を聞いたとき、私は大変驚きました
しかし、“一緒に死ぬ”それもありかもしれませんね、
そう、思ったのです
『私、思ったんです。いずれ一人でしななきゃいけないなら、今、ノボリさんと一緒に死にたいんです』
『今が幸せだから、この幸せを失うのが嫌なんです。ならいっそ、』
レイシ様はそう言って、微笑みながら私の首に手をかけたのです
そして、
『幸せのまま、終わりましょう…?』
そう言葉を続けたレイシ様は、首にかけていた手に力を込めたのです
そして私も、
「レイシ様、私も、ずっと、そのように、思っておりました。ですので、私も、」
レイシ様の首に手をかけ、
「さぁ、私と一緒に幸せを、満喫いたしましょう…」
力を込めたのです
薄れゆく意識の中、私は、微笑むレイシ様が、泡のように消えて行くところを、見た気がします
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
[
TOP]