I bite you to death! | ナノ

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いざ、乗り込め


「……黒曜センター?」
「そう」


屋上。いつも通りの快晴。
しかし、いつも通りの闘り合い(殺し合い)が開催されることはなかった。
「…そこに、今回の並中生襲撃の犯人が?」
「おそらくね」
相変わらず飄々と答える雲雀恭弥。
へぇ、と呟き、雛香はナイフを宙でくるりと一回転させた。


「…俺も連れてけよ」


つり気味の黒目がすっと細められた。
「…何しにいくの」
「何しにって……そりゃ、そいつをボコりに」
まさか能天気に遊びに行くとでも?
「…ふーん。いいけど、僕の邪魔はしないでよ」
「しねーよ」
「したら咬み殺す」
「いやしねぇから、マジで」
闘争意欲に目をギラつかせる風紀委員長の姿を見、絶対に邪魔はするまいと雛香は心に決めた。


もちろん、魂胆はただひとつ。
雛乃の安全と平和を取り戻すため。
犯人がいなくなれば、雛乃に『催眠』なんぞ掛けずにすむ。
今日、体調不良により雛乃は欠席という表向きを伝えれば、沢田達はまるで我がことのように心配していた。

…雛乃を、早くクラスに復帰させてやりたい。

そのためにも、くだらない犯人を叩きのめしてやるつもりだった。



「…よーし、待ってろよ、犯人」



珍しく自分でもわかるほどうきうきと呟けば、
楽しそうな君って最高に気味が悪いね、
と隣の委員長に真顔で毒を吐かれた。





……どうして気づかなかったのだろうか。
自分の周囲に迫る緊張に、


どこか、覚えがあることに。

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