手当をしましょうか 「……った!おまっ、手加減しろよっ?!」 「人に手当してもらっといて文句言うんじゃねえよ!」 「誰がお前に手当頼んだ、っ、あっ、」 足首に思いっきりかけられた消毒液に思わず悲鳴を上げる。 「…て、めっ、」 反射的に足元に座り込む銀髪を掴む。 だが顔を上げた(無理やり上げられた)獄寺は、なぜか嬉しそうにニヤリと笑った。 「…気色ワリィ。何その笑い」 「いや、宮野の悲鳴初めて聞いたなと思って」 「そうか良かったな、死ね」 もう少し機嫌が悪かったらナイフを振るっているところだ。 獄寺に(無理やり)保健室に連れられてきたのは良いものの、肝心の保険医が「男はみない」とかわけのわからない事を抜かして職務を放棄した結果、 獄寺隼人に足の怪我の手当をしてもらう、 という、非常に不愉快かつ最悪な状況が発生した訳だ。 「感謝しろよ、宮野」 「…ぜってーやだ…」 赤い夕日の輝く帰り道、2人。 なんでよりよってこいつと帰っているのか、それは雛香自身にも訳がわからなかったが、積み重なる疲労感にもはやどうでもよくなっていた。 「…にしてもてめぇ、なんで雲雀と互角に戦えんだよ」 「だから、護身術習ってたっつったろ…」 ため息を付き、くるりと獄寺の方へ向き直ったその時、 「嘘つけ」 どん、と背中に衝撃が来た。 |