I bite you to death! | ナノ

表紙へ戻る


まさかの再会


まず始めに、沢田の顔が恐怖に満ちた。
「…ひ、雲雀さん」
その視線の先、貯水槽の上に、
堂々と構える人物が1人。


「……誰?」


ぽつん、と呟いた雛香の声が、やたら大きく響いた。
「…雛香君、しっ、知らないの?!」
「出たなてめぇ!今日こそ果たす!」
「並盛を仕切る風紀委員長サマなんだな」
3人が3人の反応に、
へえ、と雛香は顔を上げて、


……ん?


と何か引っかかるものを感じた。
風紀、
委員長?
(『最近並盛の風紀を乱してるのは…』)
昨夜の少年の言葉を思い出しー
「…いやまさか、な」
1人思案する雛香の横で、
気付けば話が進んでいく。
「…この僕の前で群れるとか、良い度胸してるね」
「てめぇが勝手に来たんだろうが」
「ちょっ、獄寺君、喧嘩売っちゃ…」
ダン!!


一瞬の空白。
そして、
「…ぐっ……」
「ごっ、獄寺君ー!!」
獄寺の腹に深々とめり込む銀の棒。
軽々と貯水槽から降りた人物が、
誰も動けないうちに2発目を振るうのを察知する。



反射だった。



刹那、
響く金属音。


「…雛香、くん?!」
背後で沢田が大声を上げ、山本が何か言っているのが聞こえたがー。
雛香は、それどころでは無かった。
目元が引き攣るのを感じながら、
雛香は口を開く。

「…あんたは」

さっきは気付かなかった。
いくら遠目だったからといって、
己のあまりの愚かさを呪う。

「…あれ」

ナイフを交えた相手が、
大きく目を見開く。
見覚えのある、
漆黒の瞳を。
「…君は、」
きのうの、
という言葉が紡ぐが紡がれないかの内に、
雛香は大きく右腕を薙いだ。

[ 5/64 ]
[] []

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -