決別
■ ■ ■
「……雲雀、恭弥」
「…六道骸」
向かい合う。
対峙する。
全ての敵を撃破したーその、荒んだ跡地の上で。
「…恋に落ちた人間というのは、愚かな者だ」
「同感だよ。……君も、僕も」
まるで契りを交わすかのように、
常と何ひとつ変わらぬ声音で言葉を放ちー
2人は、銃口を向けた。
初めから決められていたかのように、
ずっと前にしておくべきはずのことだったかのように。
「……手に入らないのは同じなのに?」
「それでもー求める相手が1人でも減れば、傾くものがあるかもしれないでしょう?」
「愚かな」
同時に、引き金に指を掛ける。
囁くように告げた雲雀に、だが骸は薄い笑みを作り、言い捨てた。
「それは、君も同じでしょう。……雲雀恭弥」
対峙する、両者。
他に動く者など無い世界で、
明確な理由も言葉も示さず、
ただ2人の青年が銃口を向け合い、そしてー。
タンッ。
重い銃声が空をつんざく、その一瞬前に、
2人の間へ音も無く舞い降りたひとつの影が、
「ーえ、」
「さー」
乾いた2重の発砲音が響きー
赤いまだらに染まったフレアが、ひらりと舞った。