I bite you to death! | ナノ

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得た物は手の内に


「恭さん、これは?!」
「球針態が…壊れる」
動揺に声をあげる草壁の前、
雲雀はきゅっと唇を引き結んだ。

目の前、轟音とともにヒビ入り壊れゆく球針態。
だがそれに大した関心は無かった。


(雛香……!)


あの少年は、今。






目を開ける。
膝をつき座り込んでいる自分の前、
カラン、とかすかな音ともに何かが転がった。
チカチカする目を細め、それを拾い上げる。

「……これは…」

銀色に輝く、
ボンゴレの紋章と蛇の文様が絡みついた、
奇妙な、しかし目を惹くリング。


『…これを、覚悟を持つお前に』


耳の奥、凛とした声が弾けた。


「…マイア……」
呟き、雛香は小さなリングを握りしめた。
体が軽い。痛みも苦しみも何も感じない。
ここ最近体中を蝕んでいた、『催眠』の反動による苦痛は何ひとつ残っていなかった。

本当に、彼らは浄化してくれたのだ。
幼き頃ファミリーの手により入れられた、
忌まわしきあの血液を。



カツン。


ふいに聞こえた足音に、ハッと我に返る。
明るくなった視界の中、
粉々になった球針態の破片が散らばる上、
ただ立ち尽くしこちらを見つめる人影がいた。


「……ひば、」


り、と最後まで言う前に。



頬を掠める風を感じて、
瞬間、息が詰まるほど強く抱きしめられていた。



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