初代、登場 「…な、だれ、だ」 〈誰だって失礼だなー、この世界一かっこいい彼は僕の自慢の双子の兄でヴィーラファミリー初代ボスの、ぐえっ?!〉 〈レイア…名乗るくらい本人にさせろ。あとお前は本当に煩い〉 〈うう…喉狙うのはナシでしょー…痛い〉 〈痛む身体はもう無いだろうが〉 呆れたように傍らでうずくまる青年に目をやるのは、自分によく似た…否、自分を10歳くらい成長させたらこんなんなんじゃないか、という感じの男。 その髪は銀色だし左目に眼帯をしているが、しかし他を除けば本当によく似ている、と雛香は思った。 ちょっと気持ち悪いくらいだ。 〈初めまして、デーチモ。馬鹿な弟のせいで時間を食ったが…俺はヴィーラファミリー1世(プリーモ)、マイアだ〉 〈馬鹿って何さ馬鹿ってー!〉 〈ちなみにこっちは可哀想なくらい馬鹿な双子の弟、レイアだ…まあ覚えなくてもいい〉 〈さらっと無視しないでよマイア!〉 目の前で繰り広げられるやりとり(バカ騒ぎ?)を雛香はぽかんと見守るしかない。 未だ身体は鈍痛にうずいていたが、それよりも眼前の不可解な出来事への驚愕の方が遥かに勝っていた。 「…は、なんで…」 〈驚くのも無理は無いな。だがこれはボンゴレデーチモのおかげだ〉 「…ボンゴレデーチモ…?」 脳裏に浮かぶは、小動物チックな茶色の瞳。 「……ツナのことか?」 〈だから僕もマイアも生前の秀麗な姿にってあだだだっ?!〉 〈お前は本当に騒がしい。デーチモの話を少しは聞いてやれ〉 〈いっ、今耳千切れた!千切れた絶対!!〉 〈千切れる耳が無いだろう〉 深々としたため息。 横でむうっと口を尖らせる相手を完全に無視し、マイアと名乗った青年はあらためてこちらに向き直った。 〈この折に現れたのは他でもない…デーチモ、お前に試練を与えるためだ〉 「……は?」 あぜんと口を開く雛香の前、 毅然と見返す銀髪の青年。 〈…デーチモ、お前に覚悟はあるか?〉 「…は、なんの?」 〈このヴィーラファミリーの業を背負う、覚悟だ〉 |