追い詰められるリミット だめだ。 びくともしない壁に手を付け、ツナは強く歯ぎしりをした。 目の前、立ちふさがる球針態は、どれほど炎をぶつけてもヒビが入る気配すらしない。 「…っ、はっ、はぁ、は…」 「!」 耳に届いたかすかな呼吸音に、ツナははっとして振り返った。 真っ暗な視界の中、 ぐらりと傾く、何かの気配。 「雛香!」 「っ、く…いき、が…」 ずず、と壁を身体がずる音とともに、 かすれた声が途切れ途切れに耳に届く。 しまった、とツナは顔をゆがめた。 『…雛香兄の身体はとりあえず大丈夫だけど、〈催眠〉の反動でかなり弱ってる。……危険な状態だよ』 いく日か前、そう告げた時のフゥ太の暗い顔が脳裏をよぎる。 すっかり忘れていた自分に歯噛みしながら、ツナは感覚を頼りに雛香のもとへと駆け寄った。 「雛香、大丈夫か?!しっかりしろ!」 「…っ、俺は、いいから…むしろ、手伝えなくて…悪い…」 「雛香!」 閉ざされた空間の中、 虚ろに響く雛香の声。 手を伸ばせば、壁に脱力しきった体を預ける雛香の頬を指先が掠めた。 感覚を頼りに腕を回せば、その小柄な体が微かに痙攣しているのがこちらに伝わる。 「……雛香…ッ!」 このままでは、彼が。 「……そろそろ、だな」 リボーンは静かに目を細める。 (…死に追い込まれた2人の、本当の覚悟が試されるのは) |