I bite you to death! | ナノ

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失わない、失いたくないから


目を開ければ、世界はどこも真っ暗だった。


「…いたた、って、暗…」
「っつ…」
「!雛香くん!」


そうだ、俺が凍らせ切れなかった雲雀さんの匣兵器に巻き込まれて…!
炎の消えたツナは、慌ててきょろきょろと辺りを見回す。

「雛香くん、どこにっ、」
「いや真横なんだけど」
「えっ?!…あ、ここ?!」
「あとついでに俺の足踏んでる、地味に痛い」
「えっ、ええ?!ご、ごめん!」

慌てて身を引くと同時、
すぐ側で空気が動く気配。


「…ごめん、雛香くん…俺のせいで一緒に閉じ込められちゃった…」
「いや別に、俺がとっさに動いただけでツナのせいではまったく無いよ」

なんか動いちゃってさ、と苦笑混じりに聞こえる声に、ツナはほっと息を吐く。
真っ暗な闇の中、
互いの息遣いと声だけが響いていた。


「…とりあえず、これどーやって出るんだ」
「俺が破壊するよ。雛香くんはちょっと離れてて」
「了解。ナイフじゃ歯が立たなそうだしな」


彼が下がる気配を待った後、
両の拳に死ぬ気の炎をまとわせ真剣な目つきに変わるツナ。


「…はあぁ!!」


炸裂するまばゆい炎、
そして弾ける巨大な火花。






「……酸素が、切れる…」
目の前、己が作り出した球針態を睨み、雲雀はぐっと唇を噛んだ。
その全身から滲み出るドス黒いオーラに気圧され頬を引き攣らせる草壁の横、
対照的なのもいいとこな、平然とした態度でリボーンがちょこちょこと歩み寄った。

「ずいぶんイラついてんな、雲雀」
「当然だろ。彼の身体はただでさえ危険な状態だ。酸素が切れたら…」
「そんだけ大事に思ってんなら、なんで突き放したりするんだ」
「!」

パッと首を回す雲雀、
微かに眉を寄せ腕を組むリボーン。

「雲雀、雛乃の言う通りだ。おめーは間違ってんぞ」
「……。」
「今の気持ちを忘れんな。それがお前の本心だろ?」


何の感情もあらわにしない、黒い瞳。
リボーンは雲雀を見上げ、貫くようにその目を見据えた。


「2度と失いたくないんなら、2度と離さねーようにするんだぞ。…それが、お前の償いだ」



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