絶対の囲い 何も考えていなかった。 ただ、ツナが球体に飲み込まれると判断した瞬間、 とっさに足が動いてしまっただけで。 「雛香?!」 「ツナ、こっちに手を!」 増え続ける紫の雲の隙間、 手を差し伸べた雛香に、驚愕の目を向けるツナ。 「いったいどうやって、」 「俺のお得意銃の反動、…じゃなくて!」 片手に2つの銃をまとめ、いまだ数を増やし続ける雲の間からツナへ手を伸ばす。 針だらけの足場は非常に不安定で、今にも床へと落下しそうだ。それは避けたい。 「早くそっから出てこい!」 「無理だ…雛香、いますぐ降りろ!」 「はあ?!」 その時、気が付いた。 ツナが凍らす手元の雲、 その増殖は全く止まる気配が無い。 「…な、冗談っ、」 「雛香!!」 ツナの絶望的な表情に振り返った瞬間、 背後でハリネズミが最後の隙間を閉ざし、退路は完全に失われた。 |