I bite you to death! | ナノ

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引きずり続けるあの日を


突如響いた鈍い音に、
息を呑んだのは雛乃だった。


「雛香……!」


衝撃に顔をゆがめる雛香。
その首を掴み、容赦なく壁に押さえつける雲雀。
ギリギリと音が聞こえそうなほど強く雛香の首元を押さえつけ、
雲雀は手にさらに力を込めた。

「…ッ!」

ゆらり、
宙に浮いた雛香の足が、わずかに揺れる。
痛みか喉を圧迫された苦しみからか、
雛香の顔はさらにゆがんだ。



「…雲雀さんっ!」
何をやっているのだ。
信じられないと駆け寄りかけた雛乃の前で、雲雀は無造作に空の左手を薙ぐ。
瞬間、

どこからともなく現れたバリネズミが、雛乃の進路を塞ぎみるみるうちに増殖を始めた。

「……っ?!」
いつの間に開匣を。

あぜんとする雛乃の前、
増え続ける雲雀の匣兵器が壁となり立ちはだかる。
立ち並ぶ針に埋もれる視界の向こう、
バリネズミの間からわずかに見えた雲雀の横顔に、
雛乃はぎりぎりと歯ぎしりをした。

「……雲雀さんッ……!!」





『…雛香は、僕が殺した』

雲雀が何を思っているのか、
何をする気なのか、嫌というほどによくわかった。

わかってしまった。

それは自分が引きずり続け、
そしてずっとこの身を蝕み続けた感情と、同じ物であるだろうから。


雲雀は、最後まで背負い続ける気なのだ。


雛香は自分のせいで死んだのだという、
罪と、その贖罪を。




「…違う!そんなの、間違ってる、のに…っ」

雲雀さん、それは。


今の雛香を突き放すのとは、違う。
絶対に、違うはずなのに。




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