情報収集の場で 現在、ツナの脳内は軽いパニックを起こしていた。 「ちょっ、ちょっと整頓させて」 慌てて手を振り、周りを囲む大人たちに待ったをかける。 情報収集から帰ってきたビアンキとフゥ太、ラル・ミルチ、草壁(機嫌を損ね帰った雲雀の代理)、リボーン、そして雛乃との会議。 個性的すぎるそんなメンバーの中、この数分間で交わされた情報をまとめるとこうなる。 ・ヒバードを飛ばしたのは黒川の救援による ・それを受けたのは雲雀達 ・雲雀たち、つまり=並盛中学風紀委員から発展した地下財団 ・雲雀は匣の研究や調査をして世界中を飛び回っていたらしい ・雲雀は日本に滞在する予定 ・ビアンキやフゥ太も過去へ帰るため力を貸してくれる ・草壁達も同じく(雲雀はどうかわからないが…) 何やら雲雀に関する情報が圧倒的に多い中、 下された結論は。 「ミルフィオーレの入江正一を倒せばいいのよね」 ビアンキの言葉に、ツナはこくりと頷く。 「そうすれば未来も変わるかもしれない…私達の愛する人や、たくさんの仲間を失うことも…」 「ビアンキ…」 淡々とした表情ながら、しかし一方で切々とした思いの滲むビアンキの声音に、ツナは何も言うことができない。 「その通り…この未来が変われば雛香も、帰ってくるかもしれない」 雛乃が、呟くように言う。 (……あ) 真向かいに座るその姿が、 一瞬、 10年前の、幼い背格好と重なった、気がして。 ツナは、思わず瞬きをした。 (…雛乃…) ヴァリアーに雛香が捕らわれた時ですら、目元を真っ黒にし酷い顔をしていたのだ。 大人になったとはいえ、彼は一体どんな思いで、今までの日々を過ごして…。 「雛乃の言う通りだ」 頷いたフゥ太が、指を立てる。 「僕とビアンキが集めた情報によれば、日本を任されたミルフィオーレの隊長は2名」 「γと…」 少し前の神社での光景を思い出し、ラル・ミルチは眉を寄せる。 「…入江正一か?」 「そう」 フゥ太はにこりと肯定した。 「さらにね、敵の日本支部のアジトを突き止めたの」 「ええっ?!」 ビアンキのまさかの報告に、驚いたのはツナだけでなくラルや草壁、雛乃も同じくギョッとした。 「並盛駅地下のショッピングモールだよ」 誇らしげに告げたフゥ太が付け加える。 「その先に入江正一は、いる」 倒すべき、標的が。 「…これでこちらから攻め込める」 「だね」 なにやら目を爛々と光らせ始めたラルと雛乃に、ツナは仰天し口を開けた。 「せっ、攻めるー?!」 「当然」 にっこり微笑み立ち上がった雛乃の指の間、 セットされているのは数多の匣。 (め、めちゃくちゃやる気だー!!やる気満々だこの人ーっ!!) 雲雀に通じる点を感じる好戦的な態度に、 ツナはもはやツッコむこともできず冷や汗を流して固まるしかない。 「待て雛乃。お前だってわかってるはずだろ、10年前からきた奴らを、まずは強くしなきゃならねえ」 ぴょん、と雛乃の前に降り立ったリボーンが断言する。 「…リボーン」 「ツナ」 くるり、振り返った小さな赤ん坊は、 まるで心に刻み付けるかのように、 はっきりと宣言した。 「このヤバい状況の中を生き延びて、入江正一を倒せるかどうかはーお前達が、短時間にどれだけ強くなれるか、それにかかってるんだ」 |