宮野雛香VS.γ(1) ドサッ、と何かが地面に叩きつけられる、鈍い音。 振動に僅かに顔を上げた獄寺は、ぼやけた視界に映る人物に、低く呻いた。 「…あん、の…バカ野郎…」 声が聞こえた時点で、まさかとは思っていた。 だが、よりによってなぜこのタイミングで現れたのか。 ボンゴレリングを持たないあの少年が、γに勝てるはずがない。 ズキズキと痛む頭に、動かない身体。 激痛に眩む意識をなんとか繋ぎ止めながら、獄寺は吐息とともに言葉を紡いだ。 「…にげ、ろ……雛香……」 「…っう…」 なんだ、これは。 よろよろと身を起こした雛香の前、 身軽に降り立つ金髪の男。 「雨と嵐、どっちにも喰らってもらったんだがな、ショットプラズマの味はどうかな?」 「しょ、っと、ぷらずま…だと…?」 グラつく視界にこめかみを押さえ、立ち上がった雛香はあえぐ。 突如目の前で球が弾けたと思ったら、 次には全身に衝撃が来た。 (…くっそ……) やばい。 やばい、のは間違いないが、ついでに相手のトリックが全くわからない。 つまり、回避する術が無い。 だが。 「……舐めんな」 「お」 ぴく、と眉を上げたγの前、 キッと睨んだ雛香は、懐からまたもナイフを取り出す。 「…おいおい、どいつもこいつも、何とかのひとつ覚えって知らねぇのか?」 「けりを……付けてやる」 相手の揶揄など歯牙にもかけず。 雛香は勢いよく、ナイフを放った。 |