I bite you to death! | ナノ

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最悪な光景とともに


「京子ちゃん…!」
「ツナ君!!」
「無事で良かった!」
「ごめんなさい…私…」
「えっ!あ、き、気にしないで!」

10年後の黒川花に無事かくまわれていた京子に、
ツナは安堵の息を吐き、笑顔を見せた。

「ツナって本当、奥手だよね」
「この状況でお前はよくのんきにそういうことが言えるな雛乃……沢田、急ぐぞ!」
「え!あ、うん!ごめん黒川…さん(でいいのか…?)、もう少し京子ちゃんをかくまってくれないかな?」
頭を下げるツナに、花は目をぱちぱちさせながら頷く。
「そりゃ、いいけど…」
「ありがと!じゃああとでねっ」

パタン、と慌ただしく閉まったドアを見つめ、
京子と花はぽかんとしたまま立ち尽くす。

「い、忙しそうね…しかも沢田も縮んでるし…」
「雛乃君は、違うみたいだけど…」
不安げな顔をする京子が思いを馳せる先、
走り去った3人が向かうのは、


並盛神社、その場所。








「さあて、ボンゴレ10代目はいつ生き返ったのかな?」

山本の一撃を予備の炎で防いだγが、立ち上がる。

「お前らの若さにも驚いたが、それよりもボンゴレ10代目だな…生きてるとはただごとじゃあない」


(まずい…!!)


平然と佇むγの姿に、獄寺の背中を冷たい汗が流れ落ちた。


(…俺1人で、コイツを…!)


脳内で即座に次の策を思考する。
山本が倒れた今、状況は非常に悪い。
だが、必死で策を巡らす獄寺の脳は、



「全く、このままじゃあボンゴレ門外顧問も生きてる、なんて言いかねねーな」



その一言を聞いた瞬間、停止した。

「……何?」
「あー、次期、か。現門外顧問では無かったか」

何とも思ってなさそうに、γはつらつらと言葉を並べる。
ひどく冷然と淡々と、
そしてどうでもよさそうに。

「そっちの方がよく知ってんじゃねえか?仲間を庇って死んだとかだったな」

凍りつく獄寺の脳裏に、
まさか、そう思いながらも浮かび上がる、

1人の少年。


「今は双子の弟が次期顧問に収まったらしいな……たしか、そう……宮野雛香、だったか?」



悲痛に歪められた、雛乃の顔。

『…宮野雛香は、死んだ』




「…ろしたのか…」
「ん?」
「殺したのか……雛香を!!」


聞いた時は、信じられなかった。
一晩経っても現実味がなく、
あの少年が死んだなど、あり得るはずがないと思っていた。



『いいぜ、ここでやり合うか?獄寺』



挑発的に唇を緩めて笑う、
あのまっすぐな黒目が、二度と見られないだなんて。


そんな、未来が待っているなどとは。


「……て、」
「ん?」
「てめぇら、全員果たしてやる!!!」

絶叫した獄寺に応えるように、
赤色の炎〈フレイム・アロー〉が大きく口を開ける。


「許さねぇ!!!」


放たれた巨大な炎の塊に、
しかしγは微動だにせずー。








「……ここか?」
ガサリと木の根元をかき分け、雛香はひょいと顔を覗き込む。
「うわっ、火薬くさ…獄寺がダイナマイトぶっ放しまくったみたいな…」
顔をしかめながらぶつぶつと呟いたところで、



呼吸が止まった。



「……は、」


眼下、周囲を木々が囲む中、
わずかに開いた、

その場所で。



「そろそろ吐かねーと、とりかえしがつかねぇぞ」



地に伏せたままぴくりともしない山本、
掴みあげられる獄寺。

そのどちらも、



尋常でない量の血に染まっていて。




「…なるほど、そうかい」



獄寺の首を乱暴に放し、

見知らぬ男は、非情にも武器を振り下ろした。

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