I bite you to death! | ナノ

表紙へ戻る


愛しき兵器と嵐の使命


「なっ、なんだあこれは?!オイラの黒鎌〈ダークスライサー〉を!!」
「いい子だね、オルトロス…そのまま、もう少しお願い」

野猿が勢いよく振り下ろした鎌の先、
鋭い犬歯の生えた口で刃をくわえ、ギリギリとその武器を押さえ込むのは、


藍色の炎をまとう、巨大な2つ首の犬。


「…こっ、このヘンテコな犬の匣…まさかッ…」
「ヘンテコとは失礼だな。彼の名はオルトロス……2つの頭を持つ、僕の可愛い相棒だよ」
まあ、雛香には劣るけどね。

付け加えられた言葉を当然聞くはずもなく、野猿は鎌を押し返す2つの口にほおを引きつらせた。

「しゃらくせーっ!死ねよっ!!」
「僕の炎に勝てるものなら」

ふ、と妖艶さすら感じる笑みを浮かべた雛乃は、振り返り声を張り上げた。
「獄寺ッ!」
「うるせぇっつーのっ!!…で、これ何なんだよ?!」
叫び返す獄寺の左腕にあるのは、


ギラギラと光る、やたらと派手なドクロの口。


「…うわー、何それ…」
匣を開けられたのは良かったが、これはまた悪趣味な。
「なんっで引き気味なんだよてめぇはっ!」
つーかこれどうすんだよ!と喚く獄寺に、雛乃は肩をすくめて笑った。

「わかんないんなら、使えないね」
「…っ!てめぇ!」

ほんっとーに性格悪くなりやがったな、
そう吐き捨てた獄寺の顔が、真顔になる。


(……そうだよ、獄寺)


眉をひそめて腕の匣兵器を操作しだした獄寺に、雛乃は静かに口角を上げた。


「……常に攻撃の核となり、休む事のない怒涛の嵐」


それが、君の使命だから。



[ 18/155 ]
[] []

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -