歩み寄る真相 『君はーー白蘭さんに、狙われている』 「意味わかんね」 ぽつり。呟き、雛香は足を早める。 向かうは食堂、道はなんとかわかっているつもりだ。 『……は?狙われてるって、一体…』 『命とかじゃない。僕にもはっきりわからないけれど、白蘭さんは……君を、"君自身"を欲している』 きゅっと唇を引き結ぶ。心臓が早鐘を打っていた。 わからない。わからないーーだが。 《ねえ、雛香ちゃん……君も、僕のファミリーの一員だったんだよ?》 心当たりが、全く無いかと言われれば。 『白蘭さんの部屋に立ち入る事を許された伝達係から、聞いたことがある』 『伝達係……?』 『そう。白蘭さんは君の名を呼び、そして……』 角を曲がる。 目の前に大きな扉があった。 正解だ。ここまでたどり着けばさすがにわかる。この向こう、食堂にさっきまで皆といたのだから。 雛乃と、ツナと山本と、それから。 『白蘭さんは……本来、持ち得るはずのない、君との写真を持っていた、と』 『……は?ちょっ待っ、それどういう』 『僕にもよくわからないんだ。真偽を確かめる前に、伝達係は消えてしまったし……。でも、』 息を呑む。 食堂、扉、その真隣に。 「……隼人」 「……何変な顔してんだよ、雛香」 『雛香君……10年後の君が、白蘭さんに執拗に狙われていたのは、事実だ』 獄寺隼人が、立っていた。 |