I bite you to death! | ナノ

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事態は急速に回り始め


「…ちっ。バレてたのか」

くぐもった声が聞こえると同時、
音もなく滑るようにふすまが開かれる。

「どうしたんだい」
「草壁から聞いただろ…5日後に、ミルフィオーレに殴り込みだ」
「沢田綱吉が決断しない限り、その作戦は決行されないよ」
「ツナなら決行するさ」

きっぱりと断言する雛香に、雲雀は眉をつり上げたが何も言わなかった。
気配に気付かなかった草壁は、するりと入り込む雛香に驚きの目を向ける。

「…それで?」
「5日……時間が無い。俺と手合わせをしてくれ」
「ふうん…それだけじゃなさそうだね」

さすがだな。
声には出さずに黒い瞳を見つめ返す。
雛香はポケットに手を入れ、肌身離さず持ち歩いていたそれを突き出した。


「…この匣を、開匣する許可が欲しい」


手の上、ころりと揺れる橙色の匣を、
雲雀は無言でただ見つめた。






一方。
遠く離れた、イタリアのビルの最上階、そこで。

「…お帰りなさいませ、白蘭様。お食事いかがでした?」
「うん、うまかったよ。ラーメンにギョーザ」

部下の問い掛けにニコリと答え、白蘭は首をかたむける。

「ところでレオ君、何してんの?とうとう世話係まで任せられちゃった?」
「い…いえ…」

問われたレオナルド・リッピは、言い辛そうに視線を下げる。

「じ……実は、一身上の都合でやめさせて頂きたく…」
「お」

唐突な申し出に、白蘭はぴくりと眉を上げる。
だが、その笑みは崩れない。

「それはびっくり。君の才能には期待してたのになー」
「ま…またそんな…」

困り顔で俯くレオナルドに、白蘭はいつも通り言葉を重ねる。
その笑みは崩れない。崩れることはない。


「ホントホント、なかなかできることじゃないよー。第11部隊を退け、グロ・キニシアを黒曜に向かわせるように誘導するなんてさ」


空白。


「…は?」
あぜんとした顔になるレオナルドに、一方の相手はただ平然と言葉を並べる。

「君はあそこで、10年前のクローム髑髏を勝たせなければならなかった」

その口元を彩る笑みは、まだ崩れない。

「だから僕に虚偽の含まれる報告をして、勝ち目のない第11部隊ではなく第8部隊を向かわせるよう操作した。グロ君にだけクローム髑髏の魅力的な情報を教えることも怠らずにね」

ぽかんとしたまま、レオナルドは上司の流れるような発言を聞くしかない。
驚きに満ちた表情で、彼はなんとか口を開いた。

「白蘭様…?一体何を?」

対峙する男は、ただ笑みを深める。
愉快そうに、面白がるように。

「もういいから出ておいでよ、レオ君。いや…この場合グレド・グレコ君?それともボンゴレの霧の守護者かな」
「ボンゴレの…霧の守護者…ですか?」
「うん」

張り詰める空気。
動かない2人。

そして、白蘭は口を開く。


「六道骸君」




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