決断はすぐそこに 「ここにいる10代目ファミリーへの指示は、5日後にミルフィオーレ日本支部の主要施設を破壊することだ」 10年後の笹川了平が言い放った言葉に、 ツナを始め多くの者は動揺を隠せないでいた。 ミルフィオーレと戦い気絶したクロームをビアンキに預け、ツナ達はボンゴレファミリー首脳の下した結論を聞かされていた。 ヴァリアーにの元から帰ってきたのだという了平は、険しい顔でファミリー首脳の指示を告げる。 (それって…殴り込み…) 「…急だな」 「……。」 不安げに眉を寄せるツナの横、 リボーンが小さく呟く。 雛香も眉をひそめ、ただ了平を見つめた。 「……さーて、俺は極限メシ食って寝るっ!!」 「そんな?!困ります、待ってください!」 ファミリー首脳からの作戦を伝えるだけ伝え、 あとの決行はツナに委ねるときっぱり言い放った了平。 そのまま10年前と変わらない、持ち前の明るさを太陽のごとく撒き散らしながら出て行く背中に、ツナは慌てて声をあげた。 「ボスが情けねー声出すんじゃねえ。まずは5日後にお前の納得できる戦力を確保できるか考えるんだ」 あっさりリボーンがそう言えば、ラル・ミルチも口を開く。 「5日後に予想されるクローム髑髏の状態と、お前達の修業の仕上がりだな」 「雛香も『催眠』の反動が消えて、リングも手に入った万全状態だしね」 穏やかに微笑み、雛乃がそっと雛香の髪に指を絡ませる。 雛香はふっと口元を緩め、その指を甘受し上目に弟を見た。 「そ…そーだよね…戦いに、なるんだもんな…」 いまいち気乗りしない様子のツナに、にかっと山本が歯を見せて笑う。 「なーに、修業についちゃ俺達がなんとかするって。なー、獄寺っ!」 呼ばれた獄寺の顔が、わずかに陰った。 「あ、ああ…任せてください、10代目!」 一瞬間を空け、笑みを浮かべる獄寺。 その表情を横目で見、雛香はきゅっと眉を寄せた。 (隼人…) 昨夜の話が脳裏を掠める。 修業が上手くいっていないというのに、彼は大丈夫だろうか…。 カコン、と音を鳴らすししおどし。 ふすまと畳に囲まれたそこに、黒い着流し姿の雲雀恭弥は胡座をかいて座っていた。 「私見ですが、クロームが黒曜ランドにいるという情報は、六道骸からヴァリアーへもたらされたものかと」 草壁の言葉に、雲雀は答えずただ腕を組む。 「笹川了平は沢田の決断後にここへ来ます。その前にクローム髑髏に会っておきますか?」 「いいよ。骸はそこにはもういないんだろ?」 淡々と答え、雲雀はふと首を回した。 草壁の座るその後ろ、閉じたままのふすまの方へ。 「…何してるんだい?宮野雛香」 |