馴染みある彼らより 早朝。 ボンゴレアジトの視聴覚室。 「…ふわあ…」 「雛香君、なんだか眠そうだね?」 「ん、まあ…」 ツナの問いかけに適当に答え、目元をごしごしこすった雛香は、もうひとつあくびをする。 昨日の今日で、とてもじゃないが寝られなかった。同じようなことを思ったばっかりだが、そんなに己の神経は図太くない。 「気が緩んでるんすよ、10代目。お気になさらず」 「…誰のせいだと思ってやがる、ごくで」 「名前」 「…隼人」 その隣、椅子に座る獄寺は平然としたものだ。 余裕綽々で呼び名の訂正まで入れられ、雛香はチッと舌打ち混じりに椅子に深く座り直す。 その横、ツナが「えっ?!えっ?!」と目を白黒させていたが、雛香に説明する気はみじんも無かった。非常に面倒くさい。 「へえ、雛香、獄寺の呼び方変えたのか?」 「…ん、まあ…」 ため息をつき顔を上げたところで、反対側に座る山本がひょいとこちらを覗き込んだ。 「へえ、そーなのな、なら」 「雛香の半径5m以内に近づかないでよ獄寺」 「出たなブラコン野郎」 何か言いかけた山本の背後、 現れるのはにっこり微笑み殺気を放つ黒髪の青年。 言わずもがな、雛乃である。 「…もう嫌、いっそ監禁とかすれば雛香を狙う不埒な輩も消えるかな…」 「雛乃、ぎりぎりアウトだぞ」 「やだなー雛香、愛ゆえだよ」 何やらおかしなスイッチが入ってしまったらしく、昨夜から弟の様子がただならぬものへと化してしまっている。 喜ぶべきか突っ込むべきか、思案しかねた雛香の前、ジャンニーニが「画像データ、読み込めました」とパソコンをいじりつつ声をあげる。 「やはり暗号コードはボンゴレのものです。デジタル署名も一致」 ジャンニーニの言葉に、場は一気に静まりかえる。 それもそう、もとはと言えばアジトに送られてきたデータを見るため、この部屋に集められたのだから。 「つーことはやっぱ、」 「ボンゴレ特殊暗殺部隊…」 目を見開いた獄寺とツナ、息をひそめた一同の前で、 「再生します」とジャンニーニがキーを押しー 〈う"お"ぉおい!!!!!〉 大絶叫が、鳴り響いた。 |