I bite you to death! | ナノ

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よぎる思惑


ダチュラの花が咲き乱れている。

「…いまだ信じられん」
「だが、アフェンドラ隊からの報告書によれば信憑性は高い…」

疑惑と不信に揺れる机上の周囲、
何事も知らぬかのように咲き乱れている。

「しかし…」
「いささか、」
「突飛すぎやしませんかねえ…」

困惑に満ちた目が集う先、
白づくめの男は、ただニコリと笑みを浮かべた。


「過去のボンゴレファミリーが、この時代にタイムトラベルなど…」


白蘭は、ただ笑みを返す。
手元の機器をいじり、そこでやっと口を開いた。






「…てわけで、納得してもらえたかな?」
ひと通りの説明を果たした白蘭は、自身の管轄下である17部隊長全てを見渡しニッコリ笑う。

「あの、辺鄙のボウィーノの10年バズーカなどとは…」
「およそ信じられぬ…」
「だろうね。でも既成事実を示したら、すぐに教えようと思ってたんだ」

笑んだまま、白蘭は軽く身を乗り出す。
広く長い机面のはるか向こうに座る、小さな少女に。

「本当だよ?ユニ」

にこり、口元だけで浮かべられた笑みを、
少女は唇を引き結んだまま、ただ無表情で見返した。


「…しかし、なぜわざわざまたボンゴレを…?」
「1度彼らを消したぐらいじゃ物足りませんか?ボス…」
〈まるでわかってないねえ〉

それでもいまだ不穏にざわめく場に、
突如響く、嘲りに満ちた声。

「なに?!」
〈この計画の狙いは幼いボンゴレファミリーなどではなく…奴らがしょってくるネギの方でしょう〉

回線を通して響いた声音に、
白蘭は嬉しそうに微笑んだ。


〈リング、リング、ボンゴレリーング〉


「ぼっ、」「ボンゴレリング?!」
一気に騒然となる周囲に、白蘭は手元のスイッチを入れた。

「…さすがグロ君。わかってくれたみたいだね」

息を呑む一同の前、
ゆっくりと降り立つは1つの鏡板。
そこに嵌まるは5つのおしゃぶり、そしてリングのためのいくつもの空白、
完璧な円をなす3つの輪。


「僕が欲しいのは、究極権力の鍵……トゥリニセッテだよ」





まあ、もうひとつあるんだけどね。
騒ぎ立つ眼前の部下たちを眺め、白蘭はさらに笑みを深める。


『…白蘭』
風になびく、黒い前髪。
振り返り名を呼ぶ、同じ色の瞳。



僕は、欲しいものは全て手に入れる。
だからね、雛香ちゃん。

懐から出したマシュマロを口に入れ、
白蘭は内心で呟いた。




もう少しだけ、待っていて。

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