母胎帰還



僕にまだ名前もない頃
彼女の感情が世界の全てで
そこは優しくて温かで
色の無い光に溢れていた

いつからだろう
こんな風に別々になったのは
お互いの泣き声なんて
音にならなくても知れたのに

さあ戻ろう
喜びも哀しみも直結していた
愛の水の中を泳ぐんだ

臍帯から無二の愛が
彼女が吸い込んだ酸素で
もう一度だけ、息を吹き返す







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