ロックンロール



前髪で覆われた両眼には
ちゃんと世界が映っていた
携帯電話を弄る振りして
馬鹿みたいに耳をそばだてている

鏡に映るものが全てなら
僕はとうに世界を棄てただろう
生きるために吸った空気で
肺が黴びて言葉は枯れた

産まれたままの姿では
生きられないのさ、残念ながら
大人になる事は存外容易くて

装飾だらけの世の中で
御座なりにも貫いてきた
それだけが笑えるほど真実だった







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