陳腐跛



「あの頃の様には行かないんだ」


嗚呼、何と滑稽な

彼の頬を濡らした滴の意味さえ
あまりにも容易く
想像が付いてしまいました

終わりの見えないお遊びに
彼は疲れちゃったんです


神様どうか、
私の中に巣喰らった
浅はかな恋心を消して下さい

彼を蝕むこの想いに
価値など無いと気付きました


淋しいとはどういう事でしょう

彼と離れる事でしょうか
一人きりになる事でしょうか

いいえ、いいえ、

私の隣で
彼が私と私ではない誰かを
同時に気遣う事です

私の隣で
彼が私ではない誰かの為に
頭を下げる事です


この日が来る事を
知っていた私が居る事です

知っていた上で
大事な彼に
頭を下げさせた私の事です


彼の最後の背中に
私ではない誰かとの幸せを
祈ってしまった私の事です








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