ピアッシング



私が肉に針を通したのは
このままではのみ込まれて
立っていられないと思ったから


私が着てるお洋服は
ママが買ってくれたもの

私がペンを握れるのは
パパが働いてくれるから

私が食べてるお料理は
ママが作ってくれたもの

私が本を読めるのは
パパが稼いでくれるから


ママとパパの染色体が
配合してから産まれてこの方
一人で立ち上がったことなんて
一度も無かったと気付いたの

私をつくる血や肉まで
ママとパパのおかげなら
私が感じたことや考えたこと
私のものだって云えるのかしら


当然のことだと
笑ってくれて構わない

けれどこの事実は
今までの私を脅かす

私が書けるのはなぜ?
私が読めるのはなぜ?

私が詠えるのはなぜ?
私が生きられるのはなぜ?


私は私だと
胸を張っていたけれど
気付いてしまった現実に
多くのものが崩れて消えた

私が何かを産み出せるのが
ママとパパのおかげなら
それらはママとパパのものに
なってしまうんじゃないかって


だから新しく
創造する必要があったのよ

無機質な金属は音を立てて
私の身体に穴を開ける
私が唯一産み出せるものとして








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