女の子は複雑で単純だ 中学二年の時に好きな人とセックスをして、その一時間後にはその人のことを嫌いになっていた。 男性恐怖症と診断されたのも、それから直ぐ。俗に云うトラウマってやつだ。 けれど面白いことに、子宮は一度含んだ男の味をしっかり覚えていたみたいで、人目がなくなる場所――自室だとかトイレだとかで落ち着く度に、きゅんきゅんと啼くのだ。 全く、自分にこれだけ呆れたことはない。 しかし身体がいくら欲しがろうが精神はぴくりとも応えようとはしなかった。相変わらず男の人とぶつかっただけで、大袈裟に心拍数を上げる。 面倒な話しだ。生理だとかもそうだけれど、女の子の身体には自由が利かないことが多すぎる。 という話を友人の光代にした。 その光代が、話の合間には「分かる分かる」なんてさも取って付けた様な相槌しか打っていなかったのに、話が終わると「じゃあ、私とヤってみる?」なんて云い出した。 あんまりフランクに云うもんだから最初は何を云っているのか分からず眉根を寄せた私に、これまた事も無げに「セックス」と云いやがった。 こいつ。 「私と、あんたが、か?」 「ちょっと興味あったんだよね。女同士の方が良いって聞くじゃん?」 一体誰から聞いたんだ。 馬鹿馬鹿しい。 それにもし女の人とセックスすることになるとしたなら、光代の様ながさつな奴じゃなく、少女マンガの脇役みたいな子を希望したい。 「お断り」と返すつもりで光代と目を合わせた瞬間、子宮がきゅんと啼いた。 [back] |